【世界遺産】古都奈良の文化財を楽しむために知っておきたいマメ知識(後編5選)

東大寺や唐招提寺など、日本が世界に誇る奈良の世界遺産。

今回は、奈良の世界遺産を実際に観る際に、知っておきたいマメ知識をご紹介!

これを読めば、他の人とは一味違った楽しみ方ができるようになります!

 

6.お寺の境内図(伽藍図)のヒミツ

「古都奈良の文化財」の構成遺産として、世界遺産に登録されている下記の5つのお寺。

東大寺
唐招提寺
薬師寺
興福寺
元興寺

前回お話しした通り、これらの世界遺産はすべて奈良時代に建立されたお寺です。

同じ時代に造られたお寺ということで、これらのお寺にはいくつかの共通点を見ることができます。それをご紹介しましょう。

金堂を中央に配置

東大寺大仏殿(金堂)

まず1つ目の共通点、それは、金堂が中央に置かれているということ。

金堂とは、お寺の本尊が置かれているお堂のことです。

例えば、東大寺ですと、あの大仏がいらっしゃる大仏殿が金堂になります。

法隆寺:西院伽藍の金堂と五重塔

奈良時代以前に建立された法隆寺の場合、金堂はあの有名な五重塔と共に、西院伽藍に置かれています。

上の写真の通り、法隆寺では金堂と五重塔は横に並べられ、どちらにより重きが置かれているということは分かりません。

薬師寺の金堂。後ろに東塔と西塔がそびえ立つ。(東塔は平成32年まで修復工事中)

一方、薬師寺を見てみましょう。

こちらは上の写真の通り、中央に金堂が置かれ、それを支えるかのように東西に塔が配置されています。

舎利信仰から本尊信仰へ

さて、このように、奈良時代に建立されたお寺の特徴として、金堂が中央に配置されていることがお分かりいただけたかと思います。

それでは、この「金堂」や「塔」はいったいどのような意味を持って建てられたものなのでしょうか。

「金堂」は先ほどお話しした通り、本尊を安置しているお堂のこと。そして、「塔」は仏舎利が納められている塔を指します。

またここで新しい言葉、「仏舎利」が出てきました。

「仏舎利」というのは、お釈迦様の遺骨を指します。

本尊があるお堂と、お釈迦様の遺骨を納めた塔。どちらもお寺にとっては、とても大事な存在です。

大事なもの、重要なものはやっぱりお寺の中央に置かれるべき-。

奈良時代のお寺が、「金堂」を中央にどっしりと置いているということは、本尊を奉ることを大事にしていた、ということに他なりません。

ちなみに、奈良時代以前は、本尊よりも仏舎利がお寺にとって重要である、という舎利信仰が一般的であったため、法隆寺のように、金堂と五重塔が並列に並べられているのです。

金堂と回廊

2つ目の共通点。それは、金堂と合わせて回廊が設けられていたことです。

回廊というのは、お寺の主要な建物を取り囲んでいる渡り廊下のようなもの。

東大寺、大仏殿(金堂)の横に続く回廊

2017年5月現在、回廊を目で確認できるのは、5つの構成遺産のうち、東大寺、薬師寺のみです。

ですが、元興寺や唐招提寺でも、創建当時には回廊が設けられていたことが分かっています。

興福寺では、平成30年をめどに中金堂の整備工事が行われていますが、完成予定のイメージ図を確認すると、こちらも中金堂の横から回廊が張り巡らされていることが分かります。

法隆寺、西院伽藍の金堂と五重塔を囲む回廊

ちなみに、回廊は飛鳥時代の法隆寺にも見ることができます。西院伽藍と東院伽藍の双方に、回廊が設けられています。

面白いのは、東大寺や興福寺では金堂の横から回廊が出ているのに対し、法隆寺や薬師寺では、金堂は伽藍の中に配置され、大講堂の横から伽藍が出ています。

同様に、東大寺や興福寺、元興寺は金堂の回廊の外側に塔が建てられていたのに対し、薬師寺や法隆寺では回廊の中に塔が建てられていることにも注目してください。

塔はすべて多重塔が配置されていた

興福寺:五重塔

3つ目の特徴として、5つの世界遺産のすべてに、建立当時に塔が建てられていました。そして、塔はすべて多重塔として造られています。

ですが、現在、塔の姿を確認できるのは、興福寺・薬師寺・元興寺の3つのみです。
(元興寺は、厳密には「五重小塔」です。)

そして、その全て(薬師寺は東塔)が国宝に指定されているという貴重なものです。

このうち、創建当時の姿をそのまま残しているのは、薬師寺の東塔と、元興寺の五重小塔になります。

特に元興寺の五重小塔は、奈良時代に創建された五重塔で、現存する唯一のものになるので、是非ともその姿をご自身の目で確認していただきたいです。

また、発掘調査により、東大寺にはなんと七重塔があったことが分かっています。その荘厳な姿を目にしたかったですよね。

7.1000年以上前の面影が残る屋根

最後に、構成遺産の5つのお寺を訪れた時に観ていただきたいのが、「屋根」の部分です。

形が面白い、軒丸瓦

東大寺境内の建物の屋根

この時代のお寺の屋根には、軒丸瓦という瓦が使われていました。

上の写真を見てお分かりのように、屋根の先端にある円形の瓦が軒丸瓦です。

このように、軒丸瓦を先端に置き、そこから屋根の頂きまで半円形の管のように伸びており、これが均等に並べられていますよね。

他の奈良市内のお寺も、おおよそ屋根はこのような瓦の作りになっています。

この軒丸瓦を使った屋根の形状は、飛鳥時代頃から日本で見られるようになったのだそうです。

屋根の装飾品、鴟尾

唐招提寺の金堂。屋根の両端に見事な鴟尾がみられる。

もう1つ、特徴的なのが、屋根の両端につけられた鴟尾です。

東大寺大仏殿の屋根に付けられた金色の鴟尾

鴟尾というのは、屋根の両端に付けられた装飾品のことを言います。

特に、唐招提寺と東大寺の金堂の屋根に付けられている鴟尾はとても有名です。

「鴟尾」という漢字から考えると、この形状は鳥の尾の形と見ることもできますが、一方で魚の尾ひれにも見えることから、鳥と魚のどちらの尾を模したものなのか?という謎は、今もまだはっきりとしていません。

建物を建築するうえで最も大敵となるのが、火災になるかと思いますが、「火を振り払う」ことを考えると、「水」を連想させる「魚」の尾と考えたほうが縁起がよさそうです。

屋根の沿線は下に曲線に伸びていますが、屋根の頭の部分は横に直線になっています。

この直線の両端に、曲線系の鴟尾を付けることで、屋根全体としての曲線の調和が生まれ、より荘厳で優雅な印象が出ているように感じませんか?

 

いかがでしたでしょうか。

ちょっとした些細なことですが、これらのことを知っているか知らないかでは、世界遺産を訪れた時の見方が大きく変わってくることと思います。

是非奈良の世界遺産を訪れる際は、これらのことを頭に入れて観ると、より楽しく感じられることと思います!

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