ひとり旅コラム

「旅」と「旅行」の違いってなんだろう

皆さん、「旅行」に行かれたことはありますか。おそらくほとんどの人があるでしょう。
では、「旅に出たことはありますか?」と聞かれた場合はどうでしょう。答えに迷われる方、旅行ほど自信をもって「はい!」と言えない方いるのではないでしょうか。
そもそも「旅行」と「旅」って違うもの?今回はそんな素朴な疑問を考えてみたいと思います。

「旅」と「旅行」のイメージの違い

皆さんは「旅」と「旅行」の違いを考えたことはありますか?この質問に答えようと思っても、一言で誰もが納得する答えを言える人はほとんどいないのではないでしょうか。
なんとなく違うのは分かるけど、どこかぼんやりしている、言葉にまとめるのが難しい、、そんな印象です。

「旅」と「旅行」になんとなく違いを感じる理由として、それぞれの言葉で頭に思い浮かべるイメージが違う、ということが考えられます。

「旅行」と「旅」と聞いて、それぞれどんなイメージを思い浮かべますか?

あなたはこの質問に対してどのように回答するのでしょう。

筆者のイメージは・・・

「旅行」といえば:
楽しい
観光地
贅沢
のんびり
観光ツアー
家族・恋人・友達など、誰かと一緒に行く

「旅」といえば:
冒険
自由
出会い
発見
成長
ワクワクドキドキ
自分を見つめなおす

といった感じでしょうか。

ここから「旅」と「旅行」の違いを探っていきたいと思います。

目的から考える「旅」と「旅行」の違い

エンターテインメントか冒険か

旅行というと、どこか有名な観光スポットを観たり、おいしいものを食べたり、特定のアクティビティを楽しんだり、普段の日常や今住んでいる場所では味わうことのできない「体験」を楽しむことです。

つまり、旅行はある程度事前にやりたい「体験」が決まっていて、それを実際に体験するために行くことが最大の目的。
例えば、
・北海道においしいカニを食べに行きたい!
・沖縄の首里城を観てみたい!
・富士山で初日の出を拝みたい!
などなど、これらの「体験」というのは要するにエンターテインメントと言われるくくりに入るものではないでしょうか。

映画を見に行く、コンサートに行く、テーマパークに遊びに行く、

「旅行」というのはこういった楽しみと横並びになるものだと思います。

なので、「旅行」で何が重要かというと、「楽しさ」とそして当初やりたかった「体験」を実現できたか、ということ。それが「旅行」の満足感にもつながるのです。

それでは「旅」はどうでしょうか。
もちろん「旅」も楽しくて行く人がいることは事実ですが、「旅」にとって「楽しさ」というのは「旅行」ほど優先順位が高いようには見えません。どちらかというと、エンターテインメントというより冒険といったニュアンスの方が近い気がします。

冒険という言葉には、楽しさの意味合いもありますが、それよりも未知のものに対するワクワクや、ちょっとしたチャレンジも含まれていますよね。

「旅」に出るとき、もちろん
・富士山登山の旅!
・波照間ブルーを満喫する旅!
など、「旅行」でも成立するような体験はあるのでしょうが、「旅」というとそれだけでは無くて、それに付随するまだ見ぬ世界への期待や高揚と不安といったようなものも含んでいる気がします。

それ自体が目的か、過程か

「旅行」はそれ自体が目的ですが、「旅」というときそれは必ずしも目的を示しているわけではありません。

例えば、
・自分探しの旅
・婚活の旅(日本一周をバイクで回りながら婚活をされている方に出会いました!)
というとき、目的は自分探しと婚活であって、「旅」というのはその過程や手段を意味していると思います。

同じように、アニメやRPGのゲームでも、
・仲間探しの旅
・秘宝を巡る旅
などといったフレーズをよく耳にしますが、これも仲間や財宝を探すために旅に出るのであって、「旅」はその過程ということになります。
そして、こういったアニメやRPGというのはこういった目的を達成するのがゴールで、ゲームの内容自体は途中の「旅」を通してレベルアップしたり新しいスキルを身に付ける過程を楽しむものですよね。

旅の楽しさは「過程を楽しむ」というところにもあると思います。

規律か自由か

最後に、学校生活では必ず修学旅行や卒業旅行に行きますよね。
これらは「旅行」であって、「旅」ではありません。なぜでしょうか。

筆者はその理由として、卒業旅行は先ほどお話ししたエンターテインメントだからで、修学旅行は教育上の明確な目的を持っているためと考えています。

修学旅行の目的というのは、あくまでも集団生活を通じて規律を守ったり行動ルールを守ることの大切さを身に付ける訓練のようなものではないでしょうか。そういった意味で、旅行に行くことが目的ではなくて「過程」が重要という点で、先ほどお話しした「旅」と共通するものはあります。

ですが、「旅」と決定的に違うのは、そこに「自由」が無いこと、ではないかと思います。「旅」が過程を楽しむものだとすると、そこにルールや規律というものは必要ありません。なぜなら、楽しみ方に一定のルールや方法が無いからです。

そう考えると、「旅」というものの軸の1つに「自由」というキーワードは必要な要素なのではないかと思います。

内容から「旅」と「旅行」の違いを考える

点か、線か

「旅行」の目的は観光地や温泉、もしくは特定のアクティビティなど、スポットを楽しむもの。だからその間の移動やそれ以外の時間などは極力、楽できるように考えます。

例えばツアーの場合、専用のバスで移動して観光地に着いては降りて、また次の場所に移動して。。
もちろん移動中のお喋りや訪れた場所の感想を言い合ったりすることは楽しいと思います。でもそれは、移動中にしか出来ないことではないはずです。

一方で「旅」は移動も含めて、全ての時間が旅の目的であり、旅を形作る要素になります。

移動手段も自分のその時の気分や予算、状況で決まりますし、移動中にふらっと道草をしたり、かと思えば行く予定だった場所を素っ飛ばしたり。でもそのすべてが「旅」の一部なのです。

先ほど、「旅は過程を楽しむもの」とお話ししましたが、まさにそれとも繋がってきます。

日常も楽しむか、非日常を楽しむか

皆さん、「旅行」に行くときはおいしいご飯を食べて、きれいなホテル・旅館に泊まって・・・
という想像をしませんか?

「旅行」は極力楽しいものにしたいですし、この時だけはお金の心配をせずに思い切りぜいたくしたい!
と思う方も多いのではないでしょうか。

これを突き詰めて考えると、「旅行」というものに我々は「非日常」を求めているということではないかと思います。つまり、「旅行」において日常を感じるような行為や雰囲気は味わいたくない、ということでもあります。

「旅行」に行って日常と同じようにご飯を作ったり掃除をしたり、とか、日ごろ行っているのと同じようなお店はなるべく避けたいですよね。もちろん、大自然の中でBBQを楽しんだり、ということはあるでしょうが、それも大自然とBBQという日常では味わえない体験をしているわけです。

一方で、「旅」というのは旅先での「日常」も楽しむ、という側面を持っているように思います。

例えば、地元の人たちが普段使っているバスや電車に乗ってみる。
庶民に親しまれている食堂でご飯を食べる。
街中を散策してぶらぶらしてみる。

言ってみれば、「その場所の生活や人々を垣間見る」ことも「旅」の醍醐味の1つと言えます。

また、「旅」ではゲストハウスやホステルに泊まって、自炊や洗濯を自分でする人もたくさんいます。「旅行」が非日常を楽しむエンターテインメントであるのに対し、「旅」はそこに必ずしも価値が置かれているわけではないので、例えば「経済面」や「旅先での交流」ということに価値を置く旅人にとっては、自炊や洗濯をする手間と天秤にかけても、そういった価値を優先するのだと思います。

「コピー」できるか、できないか

「旅行」と「旅」の違いを最も端的に言うと、同じことが再現できるかどうか、ではないでしょうか。

「旅行」の場合は、行った場所や食べたもの、同じホテルに泊まることで同じ内容の「旅行」を何度でも楽しむことができます。これは最初にお話ししたように、「旅行」が特定の体験・アクティビティを目的としているからです。

一方、「旅」というのは二度と同じことができません。なぜなら、これまでお話ししているように、「旅」は過程を楽しむものであり、線であるので、それを最初から最後まで、同じように再現することが不可能だからです。
また、旅人にとっても例え同じ場所を旅で訪れたとしても、その時の気持ちや感じたことでその先の旅であったり、旅から感じ取るものが変わってくるでしょうし、「失恋の旅」に出るとしても、1度目の失恋と2度目の失恋で同じ場所を旅するか、というと必ずしもそんなことはありませんよね。

このように、「旅」というのはその時限りのものなので、ある意味で貴重な体験になるのです。

「旅」と「旅行」という言葉が持つ違い

イメージを共有できるか、できないか

①「この前、タイに『旅行』に行ってきたよ!」
②「この前、タイを『旅」してきたよ!」

このような2つの会話を友達や恋人から聞いたとき、皆さんはそれぞれに対してどのような返事をしますか?
筆者の場合、

①「この前、タイに『旅行』に行ってきたよ!」
→「タイのどこに行ったの?どうだった?」

②「この前、タイを『旅」してきたよ!」
→「どんな旅をしたの?」

こんな感じで会話を続けると思います。何となくニュアンスが違うことはお分かり頂けるかと思いますが、この違いがまさに「旅」と「旅行」の違いだと思います。

①の会話の場合、「タイに旅行に行ってきた」ということで、ある程度どんな旅行だったのか想像がつくわけです。人気の観光地やタイ料理を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ある程度、どんな事をしてきたのかが分かるので、「どこ?」といった場所や「どうだった?」という感想を聞くわけです。

一方、②の会話では「タイに旅」だけだと、旅行ほど具体的なイメージが湧きません。観光の旅だったのか、他に目的があった旅だったのか。
だから、「どんな」という具体的な内容を知りたいと自然に思うのです。

この2つの違いは、「旅行」についてはイメージが万人にある程度共通している一方、「旅」は共通していないことにあるのではないでしょうか。
イメージが共通していると、それだけで分かるので実はあまり会話をする必要がありません。
一方で、イメージを共有しにくいからこそ、旅の話は引き込まれることが多いと思います。この違いは先ほどご紹介した、点と線の話ともつながる部分があるかもしれません。

人によってとらえ方が変わるか、変わらないか

よく映画やドラマで出てくる「自分を見つめなおす旅」という言葉、皆さんもしこのような旅をするとしたらどこに行きますか?
おそらく100人いれば100通りの答えが返ってきそうですよね。

旅の場合、テーマで旅を共有することができますが、その捉え方が違うので旅の中身は違ってきます。違う言い方をすれば、同じ場所でも「旅」が成立する人としない人がいるということ。
自分を見つめなおす旅をしている人にとって、その人が通っていた小学校は旅の目的地の1つになるかもしれませんが、通っていない別の人にしてみればその小学校が旅の目的地になることは無いですよね。

一方、旅行の場合はその目的となる場所は他の多くの人によっても同じように旅行の行き先になります。旅行と聞くと、その次に浮かんでくるのは「場所」ではないでしょうか。もちろん、温泉、ショッピング、世界遺産などのテーマをベースにした旅行もありますが、それも結局は「じゃあどこに行くか?」と場所の話に落ち着くと思います。
結局のところ「旅行」という言葉には「行く」という漢字が含まれています。「行く」となると、「どこへ?」と続くのが自然ですよね。なので「旅行」は「場所」が軸になるわけですが、場所という概念は人によって同じものです。

比喩に使われやすいか、使われにくいか

最後に、「旅」と「旅行」という言葉で考えてみると、「旅」はよく比喩(=たとえ)や歌の歌詞に使われることが多いですが、「旅行」はあまりそういったケースを思いつきません。

”人生という旅”
”僕たちはまだ旅の途中”

このようなフレーズは一度は見聞きしたことがある方が多いのではないでしょうか。それではなぜ、旅はこのように比喩や歌の歌詞に良く使われるのでしょう。

これは筆者の考えですが、比喩や歌の歌詞というのはより多くの受け手(読み手や聞き手)に共感してもらった方がより多くの人に伝えることができます。その意味で、受け手によってさまざまに解釈できる余地があった方がいいのです。
そう考えると「旅行」と「旅」では「旅」の方がイメージや捉え方の枠が広いと思いませんか。その時々、また人によって「旅」が含まれるフレーズを聞いて、思い浮かべる情景や気持ちが違うので、例えば歌だと、聴く人それぞれに合った解釈や聴き方をすることができるということです。

逆に、もし歌や詩に「旅行」という言葉が出てくるとすれば、それはより明確な情報として聴き手や読み手に特定の情景を伝えたい、という思惑があるように思います。

 

いかがでしょうか。「旅行」や「旅」の内容や行為、考え方や受け取り方、言葉など様々な角度から両者の違いを考えてみました。
あなたはどのように思いますか?ぜひご意見を聞かせて下さい!

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