色々な旅人さんのひとり旅をご紹介する、「みんなのひとり旅」。
今回は、FM802さん(20代、女性)の青春18きっぷを使った、福島県いわき市のひとり旅をご紹介します!
一番の目的は、原発の影響で今も「帰宅困難地域」として立ち入りが制限されている区間をこの目で確かめること。
ゲストハウスや18きっぷを使った鉄道の旅の情報も必見です!
青春18きっぷ:福島県いわき市一人旅のプロフィール
移動手段 | 電車 |
旅程 | 2017年3月18日(土)~20日(月)(2泊3日) |
予算 | 宿泊代:8,800円(朝食、夕食各1回込み) 交通費:7,110円(18きっぷ3回分) 食費:2,500円 |
今回の福島県一人旅では、いわきを拠点として青春18きっぷをメインとした旅となっています。東日本大震災の影響で一部電車が不通となっている区間も、代わりに運行しているバスで移動(通過)が可能となっていますが、このバスも青春18きっぷの対象なので運賃を別途支払う必要はありません!
この旅では主に、東日本大震災の被災地を実際に訪れてみてその現状を知る、というところに目的がありました。
青春18きっぷの福島一人旅旅行記:1日目:東京~いわき市へ
東京からいわきまでの道のり
10:44 東京(JR上野東京ライン 勝田行き)
↓
12:58 三戸着
13:10 三戸発(JR常磐線)
↓
14:37 いわき着
15:19 いわき発(JR常磐線)
15:24 草野
今回は東京から18きっぷを使っていわきまで行きます。
東京からは常磐線で水戸へ、さらに水戸でいわき行きに乗り換えます。
常磐線で水戸までは、勝田行きに乗らないと行けませんが、1時間に1本程度しかないため、時間は要チェックです。
今回は、いわき駅からさらに1駅北の、草野駅まで向かいますが、東京~草野駅の普通運賃は4,000円。
18きっぷ利用で、約1,600円おトクに!
草野駅到着!
ようやく草野駅に到着!
いわき市は福島県の南の方にあるのですが、東京から鈍行だとさすがに時間がかかりますね。
草野駅周辺は、とても静かで落ち着いた雰囲気でした。大きなマンションも無く、のどかな田舎町、といった感じです。
この駅から、今回滞在するゲストハウスまで約15分ほど歩きます。
国道を越えると、さらに景色が変わり、のどかな畑の風景が一面に広がっていました!
心なしか、空気も美味しく感じます。
普段、大きなビルに囲まれて生活しているからか、遠くまで一面に見渡せて、畑が広がる街の景色はマイナスイオンが出まくりで、すでに心が癒されました(笑)
青春18きっぷの福島一人旅旅行記:いわき市のゲストハウス「GAMPハウス」
古民家ゲストハウス"GAMPハウス"
今回の滞在場所は、こちらの古民家ゲストハウス"GAMPハウス"さん。
畑の中にある古民家で、オーナーの息子さんとその両親が営んでます。
今回は、残念ながらオーナーさんは不在でお会いできませんでしたが、事前のメッセンジャーでのやり取りから、その親切な人柄が伝わってきました。
入口のドアを開けると、とても親切で世話焼きのおばあが、「おかえりなさい!」と優しく出迎えてくれました!
入口の共有スペースには、手作りの掘りごたつが置かれています。
3月ということで、まだまだ冷たい風が吹いていて、しばらくこの掘りごたつに入ってほっこりしてました。
お茶やコーヒーも備え付けで置いてあるので、自由に飲むことが出来ます。
ちょうど訪れた時(2017年3月)は、大きな改修工事を行っていて、古民家らしい天井の木の骨組みなどを見ることが出来て、新鮮でした。
東日本大震災で無くなったいわき海水浴場
夕方になって、ゲストハウスからほど近い場所にある海沿いまで散策してみました。
ゲストハウスの前の道を、ずっと東の方に15分ほど歩くと海に出ます。一本道の両端には、畑が広がっていて、本当に空気が美味しい!
海に到着!
といっても、大きな白い堤防が海岸線に沿って築かれていて、海を見ることはできません。
この白い堤防は、東日本大震災の後に造られたものです。
おばあから聞いた話だと、震災まではきれいな海水浴場でユースホステルもあったらしいですが、津波で砂浜もユースホステルも流されて無くなってしまい、このような堤防が築かれることになったのだそう。
津波は幸いにもGAMPハウスまでは到達しなかったらしいですが、1つ隣の地区は津波に飲まれてしまった、とも話していました。
震災前は、この辺りは美しい海岸線が広がる人気の海水浴場だった場所。
東日本大震災の津波は、そんな美しい海岸線の砂浜を連れ去り、景色を一変させてしまったのです。
それを考えると、改めて地震と津波の恐ろしさにぞっとしました。。
ちなみに、写真左側にあるように、海岸線に沿って植えられていた木が自然の防波堤となり、GAMPハウスまで津波は到達しなかったそうです。
自然は脅威でもあり、一方で私たちの身も守ってくれる存在であることを実感します。
夜ご飯は絶品の白菜鍋!
ゲストハウスに戻り、19時前に夜ご飯にしてもらいました。
こちらが本日のメニュー!
家の畑で採れた白菜を使った白菜鍋が最高に美味しかった!
夜ご飯は1,800円、朝ご飯は500円で食べることが出来ます。
GAMPハウスのもう1つの魅力が、薪で焚いたお風呂♨
かーなり熱い(おそらく、50度はある。。)ので、お水で少し温度を下げないと入れなかったですが、芯までぽっかぽかになりました!
薪で焚いているからでしょうか、お風呂上りも身体のぽかぽかがいつもよりずっと長続きします。
明日はいよいよ、福島原発付近の帰宅困難地域の様子を観に行きます。
青春18きっぷの福島一人旅旅行記:2日目~福島原発エリア~
まずは朝食で元気もりもり!
こちらがGAMPハウスさんの朝食!豪華です!
おうちのルールで、毎日1つはねばねば系の食べ物を食べるのだそう。朝食にはおくらが、昨日の夕食には山芋が入ってました。
原発で復旧していない竜田~原ノ町駅
今日は常磐線とバスで、福島原発のエリアを抜けつつ、北まで足を延ばします。
まずは、電車で竜田駅まで来ました!ここから先は、放射線に汚染されているため鉄道が復旧してなくて、JRの代行バスが出ています。
が、10:05分発と20時頃発の2便しかないので要注意です。もちろん18きっぷも使えます。
そのまま北へ抜けるのであれば20時頃発でも大丈夫ですが、戻ってくることを考えると、10:05分発のバスに乗らないと時間的に難しいです。
(※2017年9月現在、常磐線は竜田駅~浪江駅間で電車の運行が復興していないため、原ノ町駅まで代行バスが走っています。2017年10月21日より、竜田駅~富岡駅の列車運行が再開予定。)
(※代行バスの運行スケジュールは復興状況と合わせて変更されますので、必ず最新の情報をチェックしてください。)
(※2020年3月、浪江町~富岡駅間が開通し、常磐線全線が9年ぶりに開通!)
竜田駅に着くと、乗客は一斉に小走りで改札に向かいます。
そして、改札を出た先で待っている代行バスへ。
この日は休日ということもあり、代行バスは2台用意されていて、座席を確保することが出来ましたが、ほぼ満席でした。
帰宅困難地域を抜ける代行バス
バスが発車する前に、アナウンスが流れます。
「福島原発の放射線の影響で、運行ルートは帰宅困難地域を通過するため、窓は完全に閉めて、開けないようにしてください。」
という内容でした。
このアナウンスが流れ、バスが走り出すと、車内の空気が少し変わったのが肌で分かりました。
明らかに緊張感が増したのです。
その後、終点の原ノ町駅まで約1時間半だったと思います。
私を含め、乗客の多くは、窓から見える荒れ果てた街の姿に言葉も出ませんでした。
半壊しかけているビル、地面がひび割れ、表示板も割れたガソリンスタンド、誰もいないショッピングセンター。
それは、平和な都会に住んでる自分にとっては、異様ともいえる景色が広がっていたのです。
何が異様か-。
いつも旅をする海外で、日本と全く違う街並みや景色を観るのとはまた違った感覚。
そして、人がいないだけでなく、なんとなくそこに生命の雰囲気を感じられないことが異様だったのだと思います。
もちろん、草木は生えています。ですが、福島原発事故の先入観があったからかもしれません。自然に「命」があることが感じられず、何か無機質なものに見えてしまいました。
あまりの衝撃で、原ノ町に着くまで写真を1枚も撮る事ができませんでしたので、後ほど、帰りのバスで撮った写真をご紹介します。
青春18きっぷの福島一人旅旅行記:岩沼駅に降り立つ
原ノ町駅から岩沼駅へ
原ノ町から戻るバスが16:55まで無いので、とりあえず岩沼まで行ってみることに。常磐線で1時間ほどです。
常磐線はすぐ海の横を走ってますが、こんな感じの何もない風景と工事現場の風景が多いです。震災の津波の影響でしょうか。
窓ガラスで色が変になってしまいました。。
(※2017年9月現在、原ノ町駅発竜田駅行きのバスは無いようです。原ノ町駅から浪江駅まで電車にのり、浪江駅から代行バスが出ています。)
とんかつ二木のスープカレー
岩沼を降りてラーメンを食べようと行った店がまさかの定休日で、ふらふら歩いていたら見つけたお店がこちら。
地元の人メインで、昼過ぎでもお客さんは結構いました。
スープカレー、甘味もあってそこまで辛くなく美味しかったです!
カウンター席があるので1人でも気を使わず入れます。
芭蕉も訪れた、日本三稲荷のひとつ竹駒神社
お昼ご飯を食べ、お腹も膨れたところで次に訪れたのが、地元の人の憩いの場になっている竹駒神社。
鯉がたくさん泳いでいる池もあり、こぢんまりした神社ですが、日本三稲荷のひとつらしいです。
松尾芭蕉の奥の細道で詠まれたこともあるらしく、由緒ある神社です。
青春18きっぷの福島一人旅旅行記:2日目~福島原発エリア(帰路)~
原ノ町~竜田駅(帰り)
帰りの代行バスでは、窓側の席を確保すべく、16時前に原ノ町へ戻り、駅周辺を散策した後、バス発車の30分ほど前からバス乗り場で待機。
発車15分前ぐらいにはバスが来てくれたので、それほど待たずに済みました。
バスが出発して30分も経たないうちに、見えてくるのが、汚染土を積み上げた大量の黒いごみ袋。
原発による放射物質の汚染が発生すると、その処理がいかに長期にわたり、また人手もかかるか、よく分かります。
双葉町から富岡駅まで、この区間は帰還困難区域があり、至るところにバリケードが張ってあったり、街並も震災のままです。
まだ汚染されているのか、二輪車と歩行者の出入りは禁止されています。
バスに乗っている間、今も復興しておらず使われていない道路を狸でしょうか?動物が歩いているのが一瞬見えました。
竜田駅に立つ桜の木
竜田駅に戻り、草野までの電車を待っている間、ふとホームの向かいに立つ1本の桜が印象に残ったので、写真に撮ってみました。
蕾が付き始め、まもなく開花しようとしている桜。
電車が完全に復旧してないため、竜田駅は人も少なくどこか寂しげな雰囲気ですが、そんな中でも桜は毎年変わらずに花を咲かせているんだなぁと、ちょっとセンチメンタルにな気分になりました。
夕食はコーンバターの味噌ラーメン!
すっかり19時になり辺りは真っ暗。結局今日は移動がほとんどでした。
18きっぷ使うとこうなっちゃいますね。。でもそれが楽しいんです!
夜は草野駅の国道沿いにあるラーメンめん丸。味噌ベースのラーメンにちぢれ麺がよく合いまって、Good!
畑で遭難しかける!?
夜は真っ暗になるため、ラーメン食べてすぐGAMPハウスに戻るつもりが、道に迷って畑の中を彷徨うはめに。
(写真は、真っ暗な畑に囲まれた道で撮ったもの。この通り、街灯も何もない。。。)
真っ暗で足の踏み場も見えなくて、夜の畑がこんなにこわいとは。。
Google先生とスマホの懐中電灯で畑をうろうろ。
泥棒と間違われるんじゃないかという思いと道に迷った不安でかなり怖い思いをしました。。
ちなみに、本日の交通費は、
草野⇔竜田:1,000円(往復)
竜田⇔原ノ町:1,680円(往復)
原ノ町⇔岩沼:1,948円(往復)
の、合計約4,600円。
これを青春18きっぷでカバーできたので、約2,300円もおトクになりました~!
今回の福島県青春18きっぷの一人旅は明日が最終日。最終日の旅行記も合わせてお読みください!