ひとり旅コラム

【学生必読】就活に役立つ一人旅(ひとり旅)って何だろう?

「旅×就活」、最近そのようなトレンドをちらほら見かけるようになりました。

海外をたくさん旅をしてきた学生にフォーカスした企業説明会など、少なからず企業側でも「旅する若者」に期待していることがあるようです。

ですが、せっかくのひとり旅の経験も正しく伝えなければ企業面接でプラスにすることはできません。

今回は、就職活動において企業に自分を売り込むためのひとり旅について考えてみましょう。

この記事を読む前に

ちなみに、この記事では「ひとり旅は就活に役立つから、みんな旅しよう!」ということが言いたいわけではありません。むしろ一部否定的な意見も記載しています。

「ひとり旅は就活にもプラスになる!」ということに期待している方は、この記事を読んでがっかりするかもしれませんのでご注意ください。

また今回テーマとする「就活」とは、いわゆる新卒向けの初めての就活を意味しており、第2新卒や社会人経験者の転職活動は含みません。

1.就活について考えてみる

就活と旅が相性抜群という理由とは?

最近ネットニュースを見ていると、こんな記事が書かれていました。

なんでも、新卒の就活で学生たちが企業にアピールするネタとして鉄板とされている3つのテーマがあるのだとか。

それは、

・サークル/部活動
・アルバイト
・旅

の3つです。

サークルやアルバイト経験はよく分かりますが、それと並んで「旅」が入っているのは少し驚きでした。

就活において、学生の方たちはいかに自分たちを他の学生と差別化してアピールするかを考えると思います。

社会人になってしまえば、業会社職種、仕事の内容などいくらでも自分を差別化することができますし、それがキャリアプランにもつながってくると思います。

一方で、社会人経験がゼロの学生は言ってみれば、皆横並びなわけです。そんな中で自分をアピールするには、何かインパクトがあって印象に残るネタが無いと難しい。。

そう考えている学生さんは多いはず。そして、「インパクトがある程度あって、話を広げるきっかけ」としてぴったりなのが、ひとり旅というわけです。

旅というのはある意味でネタの宝庫です。

「ヒッチハイクで日本全国旅しました!」
「バイクで日本縦断しました!」
「バックパックで世界1周してきました!」
「XXX(あまり日本人になじみのない国)を旅したことがあります!」
「世界30か国ほど旅をしてきました!」

などなど、会話のきっかけや自分のアピールポイントになりそうな話題をいくらでも見つけることができます。

ズレてる!?就活生の考え方

さて、企業面接でもアピールポイントになりそうな「ひとり旅」。ですが、果たしてそうでしょうか。少し冷静になって考えてみましょう。

少し意地の悪い言い方かもしれませんが、もし筆者が企業の面接官で、例えば

「私は世界30か国を旅してきました!」

という学生がいたとしても、そのアピールは全く響きません。

「・・・それで?」

という感じです。

これは何もひとり旅に限ったことではありません。

「私はいくつものアルバイトを掛け持ちして、多くの経験を積みました!」
「私はボランティアサークルに入り、いろいろなイベントを企画に携わりました!」

こんなアピールをいくら重ねても、あなたの魅力はおそらく企業には伝わりません。

そんな経験よりも、大学で一生懸命勉学に励み、ゼミの研究や卒業論文の内容を自信をもって伝えたほうが企業にとっては魅力的に映ることと思います。

それでは、上記のアピールの何がいけないのか?

続いて、企業の立場から就活を考えてみましょう。

2.企業からみた就活を考える

企業が採用を考えるうえで見ているたった2つのポイントとは?

それでは、少し視点を変えて、新卒の社員を採用する企業の立場を考えてみましょう。

たくさんの応募者の中から、企業が「採用したい」と思う学生とはどのような学生でしょうか。

先ほどお話ししたように、新卒の就活では誰もが社会人経験ゼロ、仕事の経験もゼロです(アルバイト除く)。この点で、全ての新卒学生さんたちは皆一様に横並びのスタートラインに立っているようなもので、誰もが同じです。

そんな中で、企業が採用するうえで学生を見極めているポイントとは、何でしょうか。

筆者が思うに、以下の2つしかありません。

・会社のカルチャーや組織文化に合うか
・会社に入って働いている/将来会社の役に立っているという具体的なイメージが抱けるか

キャリアがゼロな時点で、企業側は仕事を任せながらその学生を育て企業にとって価値のある人材にしなければいけません。

そう考えると、企業側からしてみれば会社に馴染んでくれて、周りの社員と一緒に問題なく働いてくれると思えるような学生を採用したいはずです。

また、世界の中でも日本は特に「OJT=On the Job Training」が優れていると言われています。これは、仕事を通じて従業員を育てていく、という考え方です。

その対極と考えられるのが、例えばアメリカなどの実力主義でしょうか。企業も時間をかけてじっくり従業員を育てていく、というよりは即戦力採用が主流です。

OJTをベースに考えている日本の企業は、「入社してから育てていけば良い」という考えがあるため、学生の経験やスキルよりもその人となりであったりポテンシャル、会社のカルチャーに合うのか、を見極めたいのです。

それでは、先ほどの話に戻ってみましょう。

「私はいくつものアルバイトを掛け持ちして、多くの経験を積みました!」
「私はボランティアサークルに入り、いろいろなイベントを企画に携わりました!」

このようなアピールが企業に響かないのは、そこから「あなたがどのような人間か」ということが見えないからです。

「なぜそのバイトをしようと思ったのか?」
「なぜボランティアを始めようと思ったのか?」
「バイトやサークルで何を考え、どのようなことに興味やモチベーションを持ったのか?そしてどのような行動をしたのか?」
「何を目標にして、それを達成するためにどのような行動をしたのか?」

そう、企業へのアピールとは、あなたが何をしたのかではなく、

「どのような人間で、どんなことに興味を持ち、目標を持ち、それに向かってどう生きてきたのか」

を伝えることなんです。

 

どんな人間も誰一人として同じ人生や時間を歩んできたわけではありません。あなたがこれまでやってたことをしっかり思い返してみてください。

じっくり考えて考えて考え抜いてみると、やがてそこに「あなた」という人間が浮かび上がってくるはずです。

3.企業が「一人旅」について抱くイメージ

企業が考える「一人旅」経験者

面接官からしてみれば、ひとり旅を経験したという話はあくまでも趣味の一環としてしか考えていません。

例えば、

「バンド活動をしながら日本全国を軽トラ一台で周って路上ライブをしました!」

という話と、

「バイクにテントを担いで、日本全国を野宿しながら旅をしました!」

という話は同じなわけです。

面接官が感じるのは、「なるほど、旅が好きでそこに情熱を持っているのか」ということぐらいで、これは他の趣味と同じです。

ただ、例えば海外をたくさん旅をしてきたことに関しては、企業としては

「好奇心が強く、何事にも楽しんで取り組んでくれそう」
「海外出張や駐在などは苦にならないな」

といったポジティブな期待もあるかと思います。

特に、近年さらに内向き志向になっていると言われている日本の若者が多い中で、海外に苦手意識を持っていないことをアピールする意味で、海外を旅する経験というのはプラス要素として働く可能性があります。

これはあくまでも一般的に企業が「一人旅」というキーワードから連想されるイメージだけです。

それでは、そこにさらに「あなた」というストーリーをプラスして企業にアピールするためには、どうすればよいか、一人旅とどのように向き合えば良いか考えてみましょう。

4.一人旅を企業の就活に活かす方法とは?

「その企業にどうしても入りたい!」熱意をひとり旅でアピールしてみよう

1つめは、ひとり旅を企業への熱意や情熱を表すものとして考えるやり方です。

近年では多くの日本企業がグローバルに事業を展開しており、いろいろな国でビジネスを展開していますよね。

興味がある企業のホームページにはたいてい、「コーポレートニュース」といったような、その企業が最近行った重大ニュースが公表されています。

例えばそのニュースに目を通し、その企業が特にこれから力を入れようとしている国や地域をひとり旅で訪れるプランを立ててみましょう。

ビジネスをする上で大事な事は、現場やお客さんを知ることです。その企業が事業を行っている海外の国を訪れてみて、その国の雰囲気や日本との違い、その国でその企業のサービスや製品がどのように受け入れられているのか、実際の目で確かめて話すのとそうでないのとは雲泥の差です。

海外の子会社や支店で働いている人に会いに行ってみる、というのも良いでしょう。

そんなエピソードを面接で話すことができれば、あなたの熱意は言葉だけでなくあなたの全身から面接官に伝わるのではないでしょうか。

自分の目標・やりたい事+一人旅で本気度をアピールしよう

例えば、あなたはある企業のホームページを見てその企業が最先端の水のろ過技術を開発したことを知ります。

その企業に興味を持ったあなたは、志望動機を考えました。

「世界中できれいな水を飲めずに困っている人がたくさんいます。私は御社のろ過技術が世界中の貧困や難民の方を救う手助けにつながると思い、ぜひそれに携わりたい一心で応募しました!」

さて、このような志望動機ですと企業にはあまり響きません。
なぜなら、そこに「あなただからこそ」というストーリーが入っていないからです。
同じような想いを抱いて面接に来る学生はたくさんいます。

たくさんの応募者の中で、企業がなぜ「あなた」でないといけないのか。
「あなたらしさ」が入っていないアピールは、他のたくさんの応募者の中に埋もれてしまい、企業側の印象に残りません。

そこで、こんなストーリーを足してみましょう。

「私は学生時代にボランティアサークルに所属していました。最初は『何か人の役に立つことがしたい!』と思ったのがきっかけです。
徐々にボランティア活動の幅を広げていき、昨年は夏休みを利用して1か月間、ミャンマーの田舎でのボランティアプロジェクトに参加しました。
そこでの滞在で地元の子どもたちや地域の方とも仲良くなり、ミャンマーが抱えている貧困の現状の話を聞くことができたのですが、そこで一番地元の人たちに必要とされているのが『水』だったんです。
現地では今も井戸水をくみ上げて生活用水として利用していますが、浄化技術が無いためクリーンな水が飲めないのです。
ボランティアを通じて、社会人になっても人の役に立つ仕事がしたい、というのが私の夢であり目標です。御社のろ過技術開発プロジェクトに携わって、世界中にこの技術を届ける仕事をしたいです。」

いかがでしょうか。

あなたの体験や経験から来る話だと、話の深さも、リアリティも、本気度も伝わるものが全く違ってきます。

ひとり旅の醍醐味は、世界や日本の「今」を知り、リアルな現実を身を持って体験できることだと思います。ネットで何でも情報を得られる今だからこそ、ひとり旅での経験があなたのアピールにつながってくるのではないでしょうか。

あなたの「好き」を一人旅でとことん追求してみよう

あなたの「好き」を仕事につなげられることができれば、やりがいだけでなく仕事も楽しく感じられます。

そして、「好き」を徹底的に追求することでそれが企業へのアピールにもつながるのです。

例えば、インテリア雑貨メーカーの企業に就職したいあなた。

もともとインテリア雑貨が大好きで、いろいろなお店を見てまわるだけでもワクワクしてきます。

そんなインテリア雑貨好きが高じて、海外のいろんなインテリアにも興味が出てきたあなたは、学生時代に日本国内や海外の様々な国を一人旅しました。

一人旅のテーマはまさに、「その地域のインテリアショップ巡り!」。

京都や輪島の伝統工芸品から、スウェーデンなど北欧のインテリア雑貨、アメリカでは今注目のポートランドで雑貨屋さん巡りをしました。

そんなあなたの「好き」エピソードは、インテリア雑貨メーカーの企業にも十分なインパクトを与えるのではないでしょうか。

さらに理想を言えば、日本国内や世界のインテリア雑貨を見て、自分なりに考えること。

「次にトレンドになりそうな雑貨やテーマ」

などを面接で合わせて話してみても良いかもしれません。

一人旅をしながら「自分なりのテーマ」を探してみよう

これまでご紹介したようなひとり旅ができれば、就活でもプラスに働く可能性は大きいでしょう。

ですが、「ここまでの旅はなかなか・・・」というあなた。

そんなあなたにお伝えしたいのは、とにかく「自分なりのテーマ」を持った一人旅をしてみてください。

おそらく大半の方が、ただ単純に「一人旅」が好きで旅をしているのだと思います。もちろんそれでいいんです。旅を楽しむことが一番です。

ただ、それだと趣味の領域を出ないんです。

もしあなたが、せっかく一人旅をしていろいろな場所を旅したのだからその経験を何か就活につなげられないか、と考えているのであれば、これまでご紹介したお話を頭に入れて旅をしてみましょう。

「あなたはなぜ一人旅が好きなのか?」
「なぜその場所を旅したいと思ったのか?」
「一人旅の中で一番楽しいと感じる場面はどんな場面か?(食事?出会い?風景?)」

そんなことを考えていると、徐々にあなたらしい旅の形が浮かび上がってきます。
そこから、「自分の好きなこと」、「興味や感動を覚えること」、「やりたいこと」をはっきりと言葉で伝えられるよう準備をしておきましょう。

さらに、旅の中で出会った出来事も忘れないように詳細まで記録しておいて、それを就活につなげられるよう、
「どんな体験をして、そこであなたはどのように考えて行動し、どうなったのか。何を学んだのか。」
を明確にしておくと良いと思います。

 

いかがでしたでしょうか。

筆者は就活のために一人旅をする、というのは本末転倒だと思っています。
あくまで、一人旅を楽しみながらその中で就活にもつながるような旅のテーマがあってもいいんじゃないかと思います。

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