2020年4月7日、新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大防止に向けて日本で初めて緊急事態宣言が発出されました。人々の動きがストップする中、飲食業や空輸などを初めほぼすべての業種で甚大な影響が出ていますが、観光業はその最たるものでしょう。
この状況で一人旅や旅行に出られない私たちが、観光産業を守るためにできることをご紹介します。
①クラウドファンディングで観光産業を応援!
クラウドファンディングとは、何かを実現したい!やってみたい!、だけどそのためには資金が必要。。という人やプロジェクトが、不特定多数の人から応援やサポートという形で資金を募る方法のこと。
クラウドファンディングはネット上で誰かの思いや夢に対し、共感したものに対して自分のできる範囲で資金を提供することで、そのプロジェクトの実現を応援することができ、提供した資金によって応援者はプロジェクトに関連したリターンを受け取ることができます。まさに困っている人とそれを応援したい人を繋ぐプラットフォームと言えるでしょう。
そんなクラウドファンディングは、新型コロナウイルスの影響で接触や活動の自粛が求められている状況で人や産業を盛り上げるための大きな存在として注目を集めています。
特に観光系のプロジェクトが多く掲載されているのが、「CAMPFIRE」。その利用方法をご紹介しましょう。
気になるプロジェクトを探す
「CAMPFIRE」のページに行くと、様々なプロジェクトがトップページに表示されています。それぞれのプロジェクトごとに、プロジェクトのテーマ、募集期間や現時点で集まった資金の金額などが記載されているので参考にしましょう。
プロジェクトはいろいろな分野に分かれていますが、観光や旅行に関連したプロジェクトを探す場合は、
「プロジェクトを探す」⇒「まちづくり・地域活性化」
でテーマを絞り込むと良いでしょう。
特に現在は新型コロナの関係で支援を求める多くのプロジェクトが立ち上がっています。それだけ多くの事業者や地域が助けを求めている、という状況には心が痛みますが、その中で自分が本当に応援したいものをじっくり探してみましょう。
まずはプロジェクトのテーマで興味を引いたものがあれば画像をクリックして、プロジェクトの詳細を確認してみてください。
プロジェクトへの支援とリターンを決める
クラウドファンディングの特徴の1つが、応援者は単にお金を提供して応援するだけでなく、提供した金額によってさまざまなリターンをもらえること。
リターンはプロジェクトごとに掲載者が自由に設定することができ、金額に応じて付いてくる特典のようなものとお考えいただければ分かりやすいかもしれません。
新型コロナ関係の支援によるリターンで多いのが大きく以下の2つになります。
①未来の宿泊券やお店で使える割引券
②産地ギフト
①に関しては新型コロナが終息し、国内観光ができるようになった時、その場所を訪れて宿泊先やお店で利用することができる割引券で、実際に観光で訪れて使ったり、もしくは友達や知人などにギフトとして贈るのも良いかもしれません。
②はその観光地や産地ならではの特産品がもらえるパターンです。応援したい地域で探したり、気になる特産品で選んでみても良いでしょう。
いかがでしょうか。新型コロナウイルスの影響で、観光産業はもちろんのこと大変ですが私たちも他人ごとではなく、生活を続けていく上で不安があるのも事実です。ぜひ皆さまのできる範囲でこのようなサービスも検討してみてください。
やってみた
いざ実践!ということで筆者が支援をしてみたのがこちらの「菊芋茶」!
地元が兵庫県なので、兵庫県の助けになりたいと思って調べていたところ見つけました。健康にも良さそうですし、新型コロナで注目されている免疫力アップも期待できそう。
支援プランを選択すると、あとは支払い方法とリターンの発送先を入力するだけ。最後に応援コメントの記入ができるので、ささやかながらコメントも記入してみました。
CAMPFIREはいろいろなプロジェクトがありますし、支援金額も手ごろなものから高額なものまで幅広く用意されているので、自分に合ったプロジェクトに楽しく支援をすることができるのがおススメです。
②ふるさと納税で観光産業を応援!
今ではすっかり馴染みのある「ふるさと納税」。申し込んだ分だけ税額控除を受けられる、というメリットに惹かれて利用される方も多いかと思いますが、それに加えてこのような状況下ではまさしく地域を応援する手段にもなりますよね。
ふるさと納税のウェブサイトはいくつかあるかと思いますので、皆さんが利用されているサイトをチェックしてみてください。
現在「ふるなび」さんや「さとふる」さんでは、新型コロナウイルスによる支援ページでふるさと納税による地域への応援呼びかけを行っています。
ふるさと納税でも、先ほどのクラウドファンディング同様、大きく①コロナ終息後に実際にその地域を訪れて利用できる宿泊券や施設利用券、②地域の特産品の2つの返礼品が用意されています。
①の施設利用券は実際にコロナが終息した後でないと使用することができませんが、納税寄付をした対象事業者には先に地方自治体からお金が支払われるとのことで、資金繰りに困っている地域事業者の方にとっては大きな助けにつながります。
また、「ふるなび」さんでは「ふるなびクラウドファンディング」というページもあるので、こちらも合わせてチェックしてみてください。
③ECサイトで特産品を購入して応援!
最近では東京にも各道府県のアンテナショップがあり、気軽にいろいろな地域の特産品を購入することができますが、新型コロナウイルスによる影響でお店に足を運ぶことも自粛が求められています。
ですが、アンテナショップだけではなく楽天市場やYahooショッピングなどでも、各地方自治体の特産品を購入することができますし、特に食べ物ではJA(農協)が運営しているECサイトもあるので、ぜひネットで検索してみてください。
今回は各地域と食品にちなんだECサイトを2つご紹介します。
47CLUB
1つ目にご紹介するのが、47都道府県の特産品のECサイト、「47CLUB」。
こちらはその名の通り、各都道府県の特産品を集めたECサイトなのですが、何といっても各地域に密着している新聞社が厳選した特産品が紹介されていること。
皆さんの地元でも、まだまだ知らない隠れた特産品があるかもしれません!ぜひ一度サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。
食べチョク
2つ目にご紹介するのが、生産者の農家さんと個人の消費者を直接繋ぐECサイト「食べチョク」です。
現在コロナウイルスによる影響で、レストランやイベントなどに納入していた販路が無くなり、困っている農家さんや生産者の食品を紹介する特設ページを開設しています。
外出自粛でどこにも出かけられませんが、だからこそ家にいながら日本各地の美味しいモノを堪能して幸せを感じてみてはいかがでしょうか。
④SNSで応援!
さて、これまでは実際にお金を出して応援する方法をいくつかご紹介しましたが、クラウドファンディングにしてもふるさと納税にしても、ちょっと金額が高くてとても余裕がない・・・という方も多いかと思います。
また、困っている時に心の励みになるのは何もお金やモノだけではありません。ちょっとした応援のメッセージであったり、SNSで少しでも困っている観光業の方たちの声を拡散することも、大きな力につながると思います。
Facebookで応援
Facebookでは各地方自治体や、観光情報局局・観光案内所、ゲストハウスや観光施設などの多くがページ運営を行っています。検索をして地元のページをチェックしたり、コロナ終息後に行ってみたい旅先などの情報を知る上でもFacebookのページに「いいね」をしたり、ページのフォロワーに登録すると自分のフィード上に常に情報のアップデートが表示されるのでとても便利です。
これまで皆さんが旅で訪れた先のゲストハウスやお土産屋さん、観光案内所など「今、どうしているかな?大丈夫かな?」と思いを巡らせてみて、Facebook上で検索してページのメンバーになる。
それだけでも大きな励みや支えになることと思います。
Twitterで応援
手軽に多くの人の「つぶやき」をチェックできるTwitter。
Facebookでは皆さんの知り合いやこれまでの旅で訪れた場所、ゲストハウス、観光スポットなどをキーワードに検索をしてみることをお勧めしましたが、TwitterはFacebookとはまた違った形で応援に繋がる可能性を秘めたSNSです。
ハッシュタグ(#)で検索
今Twitterではコロナに関するハッシュタグ(#)で溢れかえっています。
#コロナ
#コロナに負けるな
#ステイホーム
などなど。
これらのハッシュタグで検索をしてみると、様々なつぶやきと合わせていろいろな情報も得ることができます。
一方でFacebookのコミュニティページとはまた違った、よりリアルで生々しい声や近況を発信しているつぶやきを見ることもあります。
例えば新型コロナウイルスによる影響で、卒業シーズンに出荷予定だったたくさんの生花が行き場所を失い、廃棄するしかない生産者のつぶやきが一気に拡散され、必要としている人の元に届けられたなどのエピソードは、Twitterが持つ即効性と拡散の速さによって実現できたことでしょう。
途方もない数のつぶやきの中で埋もれて拾われない叫びもたくさんあるかと思いますが、もし皆さんがTwitterを開いて助けを必要としているつぶやきを見かけたら、勇気を出してリツイートやコメントなどぜひしてあげてください。
そこから一気に何千、何万人の力につながるかもしれません。
新型コロナウイルスによる観光産業への影響
最後に、新型コロナウイルスが観光産業に与えている影響について触れておきます。
新型コロナウイルス(COVID19)の感染拡大防止に向けて政府が緊急事態宣言を発出し、これにより多くの観光業者がその営業活動の自粛へと追い込まれる事態となっています。
ですが、緊急事態宣言が発出される前からすでに世界各国で渡航や海外からの渡航者の受け入れを厳格化。感染者数の多い国や地域からの渡航者の入国を制限するなどにより、これまで毎年大きな増加をたどっていたインバウンド観光は大打撃を受けています。
新型コロナウイルスによる観光産業への影響で、特に大きな要因を3つ挙げてみました。
インバウンド需要への壊滅的な影響
先ほどお話しした通り、新型コロナウイルスが中国から欧米への拡大を受けた頃から、すでに世界の多くの国が渡航制限に乗り出しました。
中でも中国や韓国に次いでダイヤモンドプリンセス号での感染が大きく取り沙汰された日本に対しても、各国で日本への渡航自粛や、日本からの渡航者の受け入れ制限を行うなどの措置が続々と取られました。
特にインバウンド観光需要を引っ張ってきた中国からの観光客が激減し、浅草などから一気に中国人観光客が消えた、というニュースを目にされた方も多くいらっしゃるでしょう。
国土交通省が発表している観光白書によると、2018年の訪日外国人観光客数は3,119万人、同年の国際観光収入は411億ドル、約4.5兆円にものぼります。
2020年には東京オリンピックも当初予定され、訪日外国人観光客数は4,000万人に迫るものと予測されていた事態が新型コロナウイルスで一変。
日本で緊急事態宣言が緩和され、徐々に経済活動が再開されたとしても海外から観光客が安心して日本に旅行で来られる日が来るのは当分先になりそうです。
東京オリンピックの延期
先ほど少しお話ししたように、2020年の今年はオリンピックイヤーでした。7月から8月にかけて、オリンピック・パラリンピックで世界中から観光客が多く訪れることが期待され、また私たち日本人もとても楽しみにしていたイベントが、残念ながら1年間の延期となってしまいました。
これによりすでにオリンピック期間に入っていた宿泊施設の予約もキャンセルが相次ぎ、ホテル業界も大きな打撃を受けるという事態に追い込まれています。
国内観光の低迷
最後に、緊急事態宣言による国内観光への影響も計り知れないものがあります。
1年の中でもお盆、年末年始と並んで観光業界にとって大きなかき入れ時であるゴールデンウイークも、残念ながら緊急事態宣言により観光業はもちろん、私たち国民にも自粛が求められる事態となっています。
2018年度の旅行消費額の合計は、訪日外国人観光客による消費額4.5兆円を含む合計26.1兆円でした。このうち日本人の国内旅行(日帰り含む)の消費額は20.1兆円ということを考えても、観光業がいかに大きな産業であるかお分かりいただけるかと思います。
その中でも一大イベントのゴールデンウイークがほぼ機能しなくなってしまったことを考えると、観光産業が置かれている状況の深刻さをより実感します。
まとめると、新型コロナウイルスでオリンピックなどのイベントが総じて中止または延期、さらに飛行機も飛ばなくなり各国からの人の流入も激減、そして我々日本人の移動も制限されていることで観光そのものが出来なくなり、回復への道筋も未だ見えていない状況ということになります。
いかがでしたでしょうか。
新型コロナウイルスによる影響で、旅に出られないことの苦痛、そして自由に旅ができたことの幸せを改めて実感されている方が多いのではないでしょうか。
そんな中でも、旅への思いを今回ご紹介したような形で応援に変えてみる、そういった新しい行動をぜひ起こして未来の旅に繋げてみてはいかがでしょうか。