旅ガイド

【釧路】冬の北海道を満喫!SL 冬の湿原号に乗ってみよう!

冬の北海道は氷点下の世界が広がり、他の季節とはまた違った魅力を味わうことができます。その1つが、釧路を毎年1月下旬から3月上旬までの限られた日にしか運行しない、釧路駅と標茶駅を結ぶSL機関車、「SL 冬の湿原号」。
「SL 冬の湿原号」の基本情報
「SL 冬の湿原号」の魅力
「SL 冬の湿原号」の乗車レポート
「SL 冬の湿原号」の撮影スポット
今回はこの「SL 冬の湿原号」の乗車ガイドから楽しみ方まで、徹底解説します!

1.【釧路】「SL 冬の湿原号」の基本情報

ポーーーーッ!!

普段は静かな釧路の街に、SLの汽笛の音が鳴り響きます。その音は駅から遠く離れていても十分に聞こえるぐらい、迫力満点!

釧網線の釧路駅と標茶(しべちゃ)駅を結ぶ区間にSL列車が復活して、2020年は20周年を迎えました。

SL列車が釧路駅に到着すると、乗客だけでなくたくさんの人がSL列車の停車するプラットフォームに集まってきます。そして、SL列車が発車すると、走るSL列車に向けてたくさんの人たちが手を振って見送ってくれる姿も見ることができ、乗っている方も嬉しさ満点です。

釧路駅にSL列車が復活するまでの歴史をまずは簡単にご紹介します。

「SL 冬の湿原号」復活までの歩み

明治維新とともに開国に舵を切った日本は、当時技術的に先を行っていた西欧諸国から蒸気機関車を導入しました。明治2年のことです。

それまで主に石炭などの運搬は牛に引かせるのが一般的だった日本は、近代化とともに国の発展には鉄道の導入が不可欠だと判断したわけです。

そこから、北海道に初めて蒸気機関車が導入されたのは少し遅れての明治13年のことでした。蒸気機関車は技術の発展とともに次々に進化を遂げ日本人の足となるわけですが、戦後しばらくすると、当時の国鉄はさらなるエネルギー革命とともに鉄道の「無煙化」を進めました。

そして、北海道で最後の蒸気機関車が役目を終えて引退したのが1970年。ここから現在の電車へと発展していくことになるのですが、一方で蒸気機関車に対する名残り惜しさを感じる人が多くいたこともあり、一部で蒸気機関車の復活を望む声が上がり始めました。

そこから、SL復活に向けたプロジェクト計画がスタートするわけですが、日本各地を調べたところ、当時の保存状態として最も良好だった171号機に復活の白羽の矢が立ちました。もちろんすべてそのまま復活!というわけにはいかず、最も重要な心臓部分でもあるボイラー室などいくつかの部分に関しては新しく製造しての復活となりました。

そして2020年1月、171号機の復活とともに「SL 冬の湿原号」と名付けられたSLは釧路駅と標茶間を結ぶ区間の運行を始めたのです。

上の写真を見ていただくと、SLの正面には「171」の文字が見えるかと思います。

「SL 冬の湿原号」運行情報

それではSL 冬の湿原号の運行情報を見ていきましょう。まず、運行日に関してですが2020年の運行日は下記のとおりです。

【2020年の運行日】
2020年1月25日(土)・26日(日)、2月1日(土)〜11日(火・祝)、14日(金)〜16日(日)、21日(金)〜24日(月・振)、29日(土)・3月1日(日)

ご覧頂くと分かる通り、基本的には土日、祝日のみの運行となります。また、運行日の運行は釧路~標茶間の一往復のみとなっており、時刻表は下記のとおりです。

釧路:11時5分発⇒東釧路:11時12分発⇒釧路湿原:11時38分発⇒塘路:11時58分発⇒茅沼:12時12分発⇒標茶:12時35分着

標茶:14時00分発⇒茅沼:14時25分発⇒塘路:14時48分発⇒釧路湿原:15時07分発⇒東釧路:15時133分発⇒釧路:15時40分着

片道1時間半で、停車駅も数少ないですが、ほぼすべての乗客は釧路と標茶駅で乗り降りをしているようです。この場合、釧路から乗車し標茶駅到着後、1時間30分ぐらい自由時間として標茶駅近辺を散策し、14時発の列車で釧路へと戻る流れになります。

「SL 冬の湿原号」の車内

「SL 冬の湿原号」は5つの車両からなっており、前から2両目はカフェカーとなっています。カフェカーには記念品などの販売スペースと、1両目側のドア付近には乗車記念スタンプも設置されていますので、ぜひチェックしたいところです。

各車両は石炭を入れて燃やす石炭ストーブが設置されており、シートは4席ごとにテーブルをはさんで向かい合わせに設置されており、1列ごとに2つのテーブルボックス席が設置されています。

車内の様子は後ほど乗車レポートで詳しくご紹介します!

「SL 冬の湿原号」の乗車券購入方法と金額

「SL 冬の湿原号」は片道乗車券1,290円と指定席券840円となっています。ちなみに子ども料金は半額です。席はすべて指定席になっているので、指定席券の購入が必須となっています。

指定席券は全国のJRの主な駅(みどりの窓口)、ツインクルプラザ(旅行センター)等、または、インターネット予約サービスの「えきねっと」でも購入することができます。
また、変わりどころとしてふるさと納税の商品にもなっているので、チェックしてみてください!(ただし、釧路~釧路湿原駅間のみである点、要注意!)

2.【釧路】「SL 冬の湿原号」の魅力とは?

「SL 冬の湿原号」の魅力、それはもちろん、今では貴重になったSL蒸気機関車に乗って列車の旅気分を味わうことができたり、SLの車体をじっくり見て楽しむことができること。

でも、「SL 冬の湿原号」の魅力はそれだけではありません。それをいくつかご紹介します!

走行スピードが普通列車に比べてゆっくり!

「SL 冬の湿原号」の走行スピードは30km/hととてもゆっくりとしています。このSLが走る区間の釧路駅~標茶駅は48kmととても短い区間になっているので、普通列車だと1時間ほどで行けてしまいます。が、その区間をゆっくりと1時間半~1時間40分かけて走行してくれるのでその分、貴重なSL列車を堪能することができるのはファンだけでなく嬉しいですよね。

また、途中に現れる釧路湿原やそこに生息している丹頂鶴、エゾシカなどの生き物たちをじっくり味わうこともできます。もちろん普通電車でも車窓からのこのような風景を楽しむことができますが、スピードが速いので動物を見つけたとしてもあっという間に過ぎ去ってしまいます。速度の遅いSL機関車なら、そのようなこともありません。

釧路湿原の大自然を堪能できる!

SL 冬の湿原号が走る区間には広大な釧路湿原が広がっています。釧路湿原は今では国立公園に指定されており、日本に存在する湿原の半分以上の面積をこの釧路湿原が占めているほど、貴重な湿原地帯なんです。

冬の北海道、そして冬の釧路と言えばとても有名なのが特別天然記念物にも指定されているタンチョウヅル(丹頂鶴)の飛来。SL 冬の湿原号に乗車すると、高い確率でこの丹頂鶴だけでなくエゾシカなども間近で見ることができます!(なぜ「高い確率」で丹頂鶴を見ることができるかは、後ほどご説明します。)

電車の車窓から大自然とそこに生息する動物たちを見ることができるなんて、とても素敵な体験ですよね。

ネイチャーガイドが乗車!

SL 冬の湿原号には地元のネイチャーガイドが乗車しており、各車両を回って釧路湿原や丹頂鶴についての説明を受けることができます。

また、車掌さんも沿線の見どころをアナウンスで知らせて教えてくれるのも嬉しいポイントです。

雪に映えるSLの車体を楽しめる!

今ではそもそもSL蒸気機関車を見たり、乗ったりすることすらなかなかできません。ですが、「SL 冬の湿原号」はその名の通り、冬にだけ運行するSL蒸気機関車で、場所は日本の北の大地、北海道です。

なので、写真のように真っ白な雪の中を力強く走る黒いSL蒸気機関車の姿を楽しむことができます。周りの真っ白な雪景色の中を真黒なSL蒸気機関車が走る姿は、そのコントラストが映えてより美しく見えます。汽車からは黒や白の煙がもくもくと空に向かって伸びていく様子も、青い空と相まってなんとも言えず見とれてしまうほどです。

3.【釧路】「SL 冬の湿原号」の乗車レポート

それでは実際に「SL 冬の湿原号」に乗車したレポートをご紹介します!

11時5分に釧路駅を発車する冬の湿原号ですが、釧路駅には20分ほど前からスタンバイしていますので、たくさんの人がプラットフォームに出て車体の写真をたくさん撮っていました。

そして11時5分、時間通りに出発!

と思った矢先、乗り遅れた人がいたのか、少し動き出して止まり、乗り遅れた乗客を乗せて改めて出発!

皆さんも車体の写真を撮るのに夢中になりすぎて、汽車に乗り損ねた!なんてことが無いよう、時間は十分気を付けてください!

車内の様子

車内の様子はこんな感じ。木目調のテーブルはどことなく年代感も感じられて味わいがあります。ストーブの周りのシートを除いて、基本的に全席このようにテーブルで挟んだ4つのボックス席となっており、車窓を楽しめる作りになっています。

指定席は偶数番号を!

ちなみに、釧路駅発の場合、釧路湿原側は向かって左側になります。シートの番号としては1~18番までA~D席とあるのですが、奇数席が向かって右側、偶数席が向かって左側の席になります。ですので、釧路湿原側でより間近で車窓からの風景を楽しむには、偶数番号の席を予約するようにしましょう。

こちらが石炭ストーブです。左側のスコップの下には石炭が積まれており、誰でも石炭をストーブに補充することができちゃいます!

また、ストーブの上には網が置かれているのですが、この網の上で好きに食べ物を焼くこともできるんです!筆者が乗車したときも、するめや小魚を網の上において焼いて楽しんでいる乗客がいました。
網の上から、するめが焼かれたいい匂いが車両いっぱいに広がってお腹も自然と減ってきてしまいます。

釧路の駅構内にはコンビニや売店もあるので、乗車前には食べ物や飲み物を購入しておくと良いでしょう。

乗車後しばらく車窓からの眺めに浸っていましたが、1時間半はあっという間に過ぎてしまうので30分ぐらい経ったときに2両目の販売車両に行ってみました。

車両内の通路はとても狭いので、乗車後もたくさんの人が販売車両に詰め掛けて通路はとても混雑しています。釧路湿原や丹頂鶴などの見どころは後半にかけてなので、乗車して30分~40分の間に販売車両に行って用を済ませておくことをおススメします。

車窓からは凍った沼?池?と汽車から出てくる黒煙が。池のブルーと周りの雪の白、そして黒い煙。この色のコントラストはなかなか普段は見れないです。

車両と車両をつなぐ通路スペースにあった業務用室。木製のドアが、やはり味わいありますね。

こちらは車両の天井です。電球の形もなんとなく時代を感じますよね。レトロな感じがなんとも良い感じです。

見どころは釧路湿原駅の後から!

車窓から動物たちの姿がちらほら見ることができるのが、釧路湿原駅を過ぎた後になります。一番の見どころは、標茶駅の1つ手前の茅沼駅。

こちらの茅沼駅、今は無人駅になっているのですが、長年にわたって茅沼駅の駅員たちが丹頂鶴に餌付けをしていたこともあり、今でも丹頂鶴が多くこの駅付近で群れている姿を見ることができます!

私が乗車したこの日も、茅沼駅の周辺で丹頂鶴の姿を見ることができました。そのほか、エゾシカの姿も車窓から何度か目にすることができたので、この「SL 冬の湿原号」に乗車すれば高い確率でこれらの動物の姿を目撃することができるはずです。(こればかりは自然相手なので100%で無いのが難しいところですが。。)

標茶町では温泉もおススメ!

標茶駅では1時間半ほど時間があるのですが、いくつかあるレストランでご飯を食べるのも良いですし、温泉に浸かって身体を芯から温めてみてはいかがでしょう。

こちらの富士温泉は標茶駅から歩いて7分ほどの場所にあり、普段は地元の人達に親しまれている街の温泉です。この日はSLの運行日でもあり、入り口には「SL 冬の湿原号のお客様、歓迎!」の立て看板が置かれていました。

こちらの温泉、入浴料は350円ほどとお安い上に、その泉質に特徴があります。というのも、まるでコーラのように温泉の水が真っ黒なんです!
浸かってみるとこの黒い温泉には少しとろみもあるようでした。

なお、この温泉はタオルやシャンプー、石鹸等は備え置かれていないので、持参するか受付で購入して入浴しましょう。

4.(番外編)【釧路】「SL 冬の湿原号」列車の撮影スポット

最後に、「SL 冬の湿原号」の列車を写真に収めるのに適したスポットをいくつかご紹介します。

①釧路駅、プラットフォーム

まずは何といってもSL機関車が停車する釧路駅のプラットフォーム。SLに乗車できなくても、入場券を購入して停車しているプラットフォームに行くことは可能です。
ぜひプラットフォームから間近に車体を眺めて迫力ある姿を撮影してみてください!

②釧路駅東側すぐにある歩道橋上

釧路駅のすぐ東側に、黄緑の歩道橋が立っています。釧路駅が北側と南側を分断しているので、駅を挟んで行き来したい場合、この歩道橋を使って線路の上を歩いていくわけですが、ここからは駅に停車するSLはもちろん、出発してから歩道橋の真下を走る姿までを写真に収めることができます!

SL列車の出発時間間近になると、歩道橋上にはカメラマンも多く集まってくるので、20分ほど前にはスタンバイしておくとばっちりです。

③釧路湿原駅~細岡駅間の踏切近く

SLが走る区間のうち、釧路湿原駅とその次の駅、細岡駅は特に釧路湿原を流れる川のそばを通っており、また車道も整備されているので歩いて移動することが可能です。

この2つの駅の間には踏み切りが2か所あり、踏切近くからは迫力あるSLの走る姿を写真に撮ることができます。この場所は釧路湿原の中にあるので、周りにあるのは自然だけ。自然の中を走るSLの姿を写真に撮ることができるのは、おそらくこの区間を含めてそれほど多くは無いはずです。

 

いかがでしたでしょうか。
冬の北海道は氷点下の日も多くあり、ちょっぴり旅をするのには気合いが必要ですが、冬にしか味わうことのできない魅力もたくさんあります。ぜひ釧路を冬に旅する時は、「SL 冬の湿原号」に乗車して冬の釧路湿原を楽しんでください!

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