カンボジアの世界遺産、アンコール・ワットを巡る5日間の一人旅(ひとり旅)。
今回はいよいよアンコール遺跡のメイン、アンコール・トムを観光します。
有名なバプオン、象のテラス、王のテラスやバイヨン寺院も網羅しているので、アンコール・トムの観光ルートはこれでバッチリ!
今回は勝利の門からスタートするアンコール・トムの観光ルートをご紹介します。
【カンボジア】アンコール・トム観光ルート①:Victory Gate(勝利の門)
タ・ケウからさらに道を西に進むとようやく見えてくるのが、アンコール・トムへと続く東門。
東門は別名「勝利の門」と呼ばれており、その昔、戦いに勝利した戦士たちが凱旋した時に通った道と言われています。
この道をさらにまっすぐ進んで行くと、やがて「王のテラス」や「象のテラス」の真正面に辿りつきます。
アンコール・トムは3キロメートル四方にも及ぶとされる広大な敷地を有しており、それを囲むように堀が造られ、全部で5か所に門が設けられています。
この門の外側には、写真のように2列に並んだ石像が造られていますが、どちらもNaga(ナーガ)と呼ばれる7つの頭を持った蛇を大勢で担いでいる姿なんです。
向かって左側は神々を、向かって右側は阿修羅が描かれており、これらはクメール文明で最もよく題材として扱われる「乳海攪拌」の場面を表したものです。
「乳海攪拌」についてはまた別の記事でお話ししますが、簡単に言ってしまえば神話の一つのエピソードです。その昔、神々と阿修羅(悪魔)が大きな蛇の胴体を使って綱引きをしました。
そのスケールは、大地・山・海をも揺り動かすぐらいのもので、綱引きによって山は回転し、それによって海はかき回されてやがて乳色の海となります。その海中から天女ランバーが飛び出し、神妃ラクシュミーが誕生する。というお話です。
見どころ
・「乳海攪拌」を表した門前の石像
・門の上に描かれた、四面を向いてほほ笑む仏陀顔
・アンコール・トム側から見て門の右側には階段が設けられていて、そこから門の上に登ることが可能
【カンボジア】アンコール・トム観光ルート②:ライ王のテラス
ライ王のテラスには約25メートルに渡って細かい彫刻がなされた石の土台が残されています。
こちら、剣を持った男神や女性神が描かれているほか、土台の一番下の部分にはNaga(大蛇)や海の生き物が描かれている部分もあります。
このライ王のテラスは二重の作りになっていて、内側の石壁にもびっしりと細かい彫刻がされていますので、ぜひこちらもお見逃しなく!
もともとこの上の中央部分から衣服を身にまとっていない石像が見つかり、当初はらい病に侵されていた当時の王と考えられていましたが、最近の研究でダーマ王もしくはヤマ王(地下世界、地獄の王:閻魔大王)と言われています。この石像は現在プノンペンの国立博物館に保管されています。
見どころ
・二重に造られた石壁に細かく彫られた彫刻(特に内側の壁)
・13世紀、JayavarmanⅦ(ジャヤバルマン7世)により創建、その後ジャヤバルマン8世が拡張。
【カンボジア】アンコール・トム観光ルート③:象のテラス
ライ王のテラスの南側にあるのが、象のテラス。
時の王JayavarmanⅦ(ジャヤバルマン7世)がいろいろな祭事を行う際に臨席した場所であり、王宮の正面を飾るにふさわしい堂々とした雰囲気を演出しています。
ちょうど真正面の階段周辺にはGaruda(ガルーダ)が描かれており、そこから南北に翼を広げたように回廊が設けられ、南北へと続く回廊の下には象が描かれています。
ちょうどこの先が勝利の門へと続く道になっており、ここがまさに王朝のど真ん中。
ここから勝利の門へ続く道の両側にも、小さな塔(プラサート・スール・プラット)や小さな寺院の遺跡が残されています。
見どころ
・王宮の正面に造られた堂々とした石像が両端に構えるテラス
・正面下にGaruda、そこから南北に延びる回廊の下には象が描かれている
・12世紀末、JayavarmanⅦ(ジャヤバルマン7世)により創建
旅のヒント⑩:アンコール・トムの観光ルート
アンコール・トムはかなり広大な敷地があり、その中心部分を観るだけでも軽く数時間はかかってしまいます。
そのため、なるべく効率的に周りたいところ。
周るルートとして、大きく2パターンあり、今回ご紹介したように勝利の門から入るルートと、南のバイヨン寺院から北に進むルートがあります。
周り方としては、
勝利の門
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象のテラス
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王のテラス
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(時間があれば)Preah Palilay(プレア・パリレイ)
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Royal Palace&Phimeanakas(王宮&ピミアナカス)
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Baphuon(バプオン)
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Preah Ngok(プレア・ゴク)
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バイヨン寺院
をおすすめします。
【カンボジア】アンコール・トム観光ルート④:Royal Palace&Phimeanakas(ピミアナカス)
象のテラスの正面から西に進んだ場所が、アンコール・トムの王宮があった場所です。残念ながら現在ではその門と、その奥にピラミッドのように建てられたPhimeanakas(ピミアナカス)、そしてところどころに残された王宮の一部の骨組みしか観ることができません。
ここにあった王宮は1431年、アユタヤ朝の焼き討ちにあいその姿を消してしまいましたが、当時の王宮は数階建ての楼閣が築かれ、鉛の瓦が敷かれていたそうです。
また、その後の発掘調査により地下4メートル付近から、梁や柱などの木造建築の構造物が見つかっています。
北側に今も残されている王宮の貯水池がこちら。
その昔王がここで行われた水上競技を観戦して楽しんでもいたのだとか。
木々に覆われた場所の奥に突然現れるピラミッドのような遺跡がピミアナカスです。
周りは深々とした緑に囲まれており、ピミアナカスのところどころにも苔や草がびっしりと生い茂っています。この姿を見ると長い時の経過を感じずにはいられませんね。
アンコール遺跡は、あの宮崎駿監督の映画「天空の城ラピュタ」のモデルとなった遺跡があることでも有名ですが、まさに天空にそびえたち長い間人々に忘れ去られた存在であるラピュタと同じように、森林の奥でひっそりと残り続けている遺跡には静かで、でも確実に長い時間を経た後の姿であることを感じずにはいられません。
ピミアナカスは象のテラスから入った直線状からややズレた場所に建てられているため、この王宮の中心的な存在では無かったようです。
ですが、聖山プノン・バケンを通る南北軸と貯水池である東バライ中心軸線が交差する場所に建てられ、またアンコールに滞在した周達観の「真臘風土記」によると、毎晩王はここに来てNaga(大蛇)の化身である女性と瞑想を行い、王国全体にパワーを送っていたと記載されています。
見どころ
・ピミアナカス:10世紀末にSuryavarmanⅠ(スールヤバルマン1世)が創建
・貯水池や所々に残された王宮の遺構
【カンボジア】アンコール・トム観光ルート⑤:Baphuon(バプオン)
王宮の南側、両側を池に挟まれ、その間に設けられたまっすぐの1本の参道の先にあるのがBaphuon(バプオン)です。この参道は高さ1メートルの橋脚の上に造られていて、歩いているとまるで天空の参道のよう。
バプオンの構造としては5層になっていて、上は回廊になっています。当時の王であったUdayadityavarmanⅡ(ウダヤディティヤバルマン2世)が王朝の中心寺院として創建されました。
特徴的なのが、その石面に細かく彫られた彫刻の絵です。
これまで見てきたのとは少しテーマ、趣向が違っていて、描かれているのは人間と動物のようです。狩猟をしている場面でしょうか。
このBapuon、5層になっているだけのことはあち、頂上まで登るのも一苦労。。
この日ずっとアンコール遺跡を周り、いろいろな遺跡で頂上まで上がったこともあって、ここで筆者の足についに限界が。関節を曲げると痛みだしたのです。
さすがに自転車と歩きで周るのはキツイです。。
見どころ
・UdayadityavarmanⅡ(ウダヤディティヤバルマン2世)が王朝の中心寺院として1060年ごろに創建
・寺院までまっすぐに伸びる天空の参道
・石面に描かれた狩猟の彫刻
【カンボジア】アンコール・トム観光ルート⑥:Bayon(バイヨン寺院)
ついにやってきました!本日のメイン、Bayon(バイヨン寺院)!!
観光ガイドブックで幾度となく目にしたバイヨン寺院。思っていたよりは少しこぢんまりとした印象ですが、石塔がいくつもそびえたつ姿はアンコール遺跡の中でもかなり独特な気がします。その外観だけでもインパクトはバツグンです。
何といってもこの石面に描かれた柔和な仏陀の顔がここ、バイヨン寺院の一番の見どころでしょう。
他の遺跡でも門の上に描かれたブッダの顔は観てきましたが、バイヨン寺院のものが一番保存状態が良く、しかも間近で観ることができます。
それにしても、石に仏陀の顔を書いているわけではなく、石そのものを削ってこのように立体的に顔を浮かび上がらせるというのはどのようにしたら出来るのでしょう?考えてみるとものすごい技術ですよね!
バイヨン寺院内は通路も細く、まるで迷路のよう。
訪れたのは午後4時前だったこともあり、混雑状況としてはまだマシだったのかなと思います。これが昼前後の混雑時だと、おそらく渋滞が発生して思うように寺院内を歩けないのではないでしょうか。。
バイヨン寺院内で撮る面白写真
神聖な場所なのでやや不謹慎な気もしますが、、バイヨン寺院内ではたくさんの面白写真を撮る事が出来ちゃいます!
間近に仏面の石塔があるので、いろいろな写真を撮って楽しんでみましょう。もちろん、その前に厳かな気持ちでお参りすることをお忘れなく。
1周に渡って描かれた石面の彫刻も見どころ!
バイヨン寺院内の石面にはよく見ると絵が刻まれています。この彫刻はバイヨン寺院を1周りするほど続いており、歴史のストーリーを表したものになっています。
日本の歴史でいう所の絵巻物のようなものでしょうか。
見どころ
・バイヨン寺院は聖なる山、須弥山を模したもの
・二重の回廊を持ち、外側の第一回廊には壁画が描かれている
・12世紀後半から13世紀、JayavarmanⅦ(ジャヤバルマン7世)により創建
・寺院内に多く造られた仏面の石塔
旅のヒント⑪:バイヨン寺院内のチップに要注意!
バイヨン寺院内を歩いていると、突然1人の男性に「いい写真スポットを教えてあげるからついてきて」と言われ、言われるがままにいろいろな写真を撮ってもらいました。
一通り案内が終わると、予想はしていましたがやはりチップの要求が。男性が口にした金額は10ドルでしたが、さすがにあり得ないので5ドルだけ渡してその場を後にしました。5ドルでも今考えると高いですね。2,3ドルぐらいが妥当だと思います。
とくにしつこく付きまとってくることは無かったですが、チップを払いたくない方は最初からNOと断りましょう。
【カンボジア】アンコール・トム観光を終えて
南大門
Bayon(バイヨン寺院)の観光も無事終了し、時刻は早くも午後4時過ぎ。
足も痛むし、頭痛もするしで今日の観光はひとまず終了!
南大門の立派なゲートに感動するよりも疲労がピークに。ここから10キロ弱の道のりをシェムリアップまで自転車で帰らないことを考えると途方もない気持ちになりますが、自分の足で帰るしかありません。。
アンコール・ワット付近は絶好のピクニックエリア!?
帰り道、アンコール・ワットの前を走っていると広い芝生の上にシートを敷いたり、テントを張ったりしてピクニックを楽しむ人がたくさん。
ちょうど日曜日だったこともあると思いますが、市民憩いの場になっているようですね。世界遺産の前でピクニックとは、とてもぜいたく!
シェムリアップ市街
レンタルバイクを返却し、ホステルに戻ってシャワーでリフレッシュ!
1日中炎天下の中を歩き回ったからか、体にまだ熱が溜まっているらしく、なんだか体温が高い気が。。軽い熱中症だったのかも。
それよりも右足の関節に痛みが出てしまって、ちょっとでも足を曲げたら痛みが。。これで明日も観光できるかな。。
ちょっと仮眠を取っていると、同じ部屋の中国人の男性に、
「日本人何人かとシンガポール人とで夜ご飯食べに行くんだけど、一緒に行く?」
と誘われました。
ですが、足の痛みがそれどころではなく、歩くのもやっとだったので泣く泣く断ることに。せっかく仲良くなれるチャンスだったのに、残念過ぎる。。
午後8時ぐらいに、痛む足を引きずりながら夜ご飯を食べに近くをウロウロ。
パブストリートもたくさんの観光客で賑わってます。やっぱり欧米系のレストランが多いな。
そこまで食欲も無いので、川沿いに出ていた屋台でご飯を済ませることに。
よく分からんチキンと玉ねぎの炒め物にご飯。これで2ドルくらい。ジュースは1ドル。安いからまあ良いか。
腹ごしらえを終えた後は気温も涼しかったので、街中をぶらぶら散歩。
すぐ近くに川が流れていて、ちょっとライトアップは地味なものの、川沿いにはベンチもあってゆったりしたい人にはおススメ。こういう場所がある街って好きです。
Old Market
シェムリアップの中心部にはいくつかのマーケットが点在しているのですが、川沿いの向かいにあるのがこちらのOld Market。お土産ものが多いですが、雑貨や装飾品、食べ物も売ってます。
カフェもたくさん!
街をぶらぶらした後コーヒーが飲みたくなって、適当に入ったカフェでカフェオレをテイクアウト。
シェムリアップにはたくさんのカフェがあるので、コーヒーの飲み比べをするのも楽しいです。値段はお店によってばらつきがありますが、だいたい1.5ドルくらいで高くても2ドルちょっとといった感じです。
日本に比べると少し安いですが、カンボジアの他の物価に比べるとやっぱり嗜好品という感じですね。
いくつかコーヒーを飲みましたが、ちょっとコーヒーの味は薄目でした。
見どころだらけのアンコール・トム、いかがでしたでしょうか。少し駆け足での観光になってしまい、じっくり観ようと思うと半日は欲しいところ。
圧巻のBayon(ベイヨン寺院)には大満足です!あなたもぜひ、その目でアンコール・トムを堪能してみてください!
カンボジアの一人旅(ひとり旅)徹底ガイド
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