ひとり旅コラム

安田純平さんと自己責任と旅

シリアで拘束されていた安田純平さんが約40か月もの期間を経て解放、無事日本への帰国されました。

無事に日本への帰国がかなった一方で、最近メディアで「自己責任論」が巻き起こっています。

今回は安田さんの事件と自己責任、そこから見えてくる旅の意義について徒然なるままに考えてみたいと思います。

安田さんの事件で巻き起こった論争とは?

安田さんが無事に帰国をされてからというもの、日本中で巻き起こっている「自己責任」に関する議論。

自己責任とはその名の通り、自分で行ったことの責任は自分で取れ、ということです。この自己責任を軸において考えてみると、自らの意思で危険と知りながらシリアへと渡った安田さんの身に起きたことは、言ってみれば自業自得でしょ、と言えます。

自己責任論者にとって、今回の事件で主張しているポイントは大きく以下の2点ではないでしょうか。

・危険と知りながら、また政府も渡航を禁止している国へ自らの意思で趣き、行動をしたことで今回の事件を引き起こし、国や多くの人たちを巻き込んだ
・テロリストに屈して身代金を支払えば、さらにその資金源でテロ集団の勢力が拡大し、もっと多くの被疑者が出る

確かにその通りではありますよね。安田さん自身も帰国後の会見で、今回自らの行動でこのような結果を招いた責任を重く受け止めて謝罪の言葉も述べています。

一方で、このように自己責任論に基づいて安田さんを非難する意見に反発する声も多数挙がっています。

このような反論は直接「自己責任論」に対して真っ向から反論するものではありません。その中でも良くニュースやネットで出ている意見が、

・世界で「今」起こっている事を「知る」ためにジャーナリズムは必要不可欠であり、安田さんの行動が頭ごなしに否定されるべきではない

というもの。

ジャーナリズムの必要性を訴えるものと言えるでしょう。

旅とのつながり

さて、ご紹介した2つの考え方。実はどちらも旅と深い関わりがあるのではないでしょうか。

ひとり旅をする上で、旅の中で起こることは当然すべて自分一人で受け止めないといけない。ひとり旅が自己責任の上に成り立っていることは言うまでもないでしょう。

一方で、旅に出る理由を考えてみると、そこに少なからず「この目で見て、知りたい。」という欲求があると思います。

ネットで何でも調べられる時代。世界中のきれいな風景や有名な世界遺産など、簡単に画像や動画を通して知ることができますが、それでも人は旅に出ます。なぜでしょうか。

ネットで見る写真や動画だけが見たいんじゃない、他にもたくさん見たいものがあるんだ!という声も当然あるでしょう。ですが、やっぱり「リアル」を体感したいからではないでしょうか。

一度は旅に出たことがある人なら分かるでしょう。そこに行ってみて初めて気づくこと、感じること、出会うことがたくさんあります。
また、写真で見る表向きの観光情報ではなく、実はその裏にある違った現地の一面を垣間見ることもあるでしょう。

海外を旅する場合、勝手知って住み慣れた日本から遠く離れた場所で、しかも言葉も通じない中で何が起こるか分かりません。決して「安全」が100%保証されているわけでもない。自己責任を負いながらも、それでも求めるものがあって旅に出る。

これって安田さんが「現実を知り、伝える」というジャーナリズムの精神に憑りつかれたかのようにシリアの地に向かったのと似ていると思いませんか?
もちろん、渡航禁止になっており本当に生命の危機にさらされる可能性が高い場所に、ジャーナリストとして乗り込むのと旅では状況が全く違うとしても。

安田さんの言葉で気づいた旅のありかた

記者会見やニュース番組で安田さんがジャーナリズムについて語っていた時、印象的な話がありました。

シリアに入り現地を取材する理由として、そこで生活をしている人々が何を考えいかに苦しんでいるかを伝えるだけでなく、なぜテロが起こってしまうのか、またテロリストたちがなぜこのような行為に及んでしまうのか、その理由を探り、伝えたい。

そのような事を話していたことが特に心に残っています。

無関係で善良な市民を巻き込むテロという行為はいかなる理由であれ正当化される余地もなく、断じて許すことのできない行為です。ですが、安田さんにはテロを絶対悪と見なすことなく、あくまで客観的にとらえようとしている姿勢を感じました。

そう考えると、はっとさせられた思いになりました。私たちはいつの間にか、目に見えない多くの「常識」や「価値観」に囚われていないか、と。

私自身、数多くの国を渡り歩く中で、たくさんの価値観や考え方、異なる文化や生活を目の当たりにして、いつしか世の中にある「常識」という固定観念に抗う姿勢を身につけてきたつもりでいましたが、それでもまだどこかに知らず知らずの間に固定観念を持っていたのかなと気づかされたような気がします。

旅をする上で、目で見たもの、感じたことをありのままに受け入れて楽しむ姿勢はとても大事だと思います。例えて言うなら、透明で何色にも染まっていない状態で、でもある場所を訪れたら自然にその場所に馴染む色になる。そんな状態で旅ができたら、もっと旅が楽しくなることでしょう。

次に旅に出る時にはそんな姿勢で旅を楽しんでみたいと思っています。

自己責任論に思うこと

冒頭でご紹介した自己責任論。私はこの考えに反対するつもりはありません。正しいと思っています。

ですが、今の論調にはどこか否定的で論理に傾聴しすぎて、そこに血が通っていないような感じがしてなりません。

自分が何か行動をする以上、そこに自己責任が伴います。

旅にしても、仕事にしても、夢を追いかけるにしても、自分をもって行動する限り、そこに自己責任があるのは当たりまえ。

今巻き起こっている論争は、なんだかそんな夢や目標に向かって挑戦する行為を抑制するような空気感が漂っている気がしてしまいます。本来なら、そのように頑張っている人たちを応援する空気が自然にできるようになるといいなと感じます。特に海外へ旅をする人の意欲を削いでしまうのでは無いかという不安も感じずにはいられません。

 

皆さんはどう思いますか??ぜひご意見聞かせてください!

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