ジョージアはワインと自然豊かな国で人気の国ですが、その中でも特に自然を堪能できる場所がウシュグリ村です。ウシュグリ村は世界遺産にも登録されています。
今回は、自然に囲まれた暮らしを存分に体感することができ、癒されること間違い無しのウシュグリ村へ、旅人のみおさんの1泊の一人旅の様子をご紹介!
旅先での人の温かさに触れたエピソードもぜひご一読ください!
【ジョージア】ウシュグリ村の基本情報
ジョージアにあるウシュグリ村は、ヨーロッパで最も高い地点にある村で、標高2300mの場所に位置しています。
日本で最も高い富士山でいうと、6合目付近の高さということになります。どれだけ高い場所にあるのか、なかなかピンと来ないですよね。
人口は200人程度の小さな集落で、それだけだと山の中にある自然豊かな村なんですが、実はこのウシュグリ村全体が世界遺産に認定されているのです。
正確には、ジョージアの3つの世界遺産の中に1つ、「上スヴァネティ」という世界遺産を構成する遺産の1つということになります。
メスティアを中心とするこの上スヴァネティ地域には、中世のグルジア文化を今に伝える建造物が数多く残されており、その建造物群と文化的景観が1996年に世界文化遺産として登録されたのです。
【ジョージア】ウシュグリ村への行き方
メスティアから移動
ウシュグリ村へは、上スヴァネティ地域の中心都市であるメスティアの街からミニバスで約2時間移動します。
ちなみに冬は大雪が降るため、夏しか行けません。
私は朝9時頃にメスティアの街の中心地に行きました。そこにはいくつかバスを運行している代理店があり、外で呼び込みをしています。
ウシュグリ村へはほとんどの観光客は日帰りで訪れるため往復で予約します(30〜50ラリ)が、日帰りの場合、ウシュグリ村での滞在時間は4時間ほど。
私は今回、ウシュグリ村の魅力を他の旅人から聞いていたこともあり、ウシュグリ村で1泊することに!片道だと20リラでした。
ウシュグリ村は高い山の中にあるということもあって、村までの移動は事前に聞いていたうわさ通り、舗装されていないところが多く揺れがひどかったです。
どのくらい激しいかというと、椅子に置いていた荷物が全部吹っ飛んでいくほど。体を支えるので精一杯でした。
そして、道幅もとても狭いのでなかなか危険です。
気付くと窓の外には牛が。
車の通行を気にせず歩いているので、牛が避けるのを待たなければなりません。
まるでサファリパークですね。笑
【ジョージア 】ウシュグリ村に到着!村を散策
大きな揺れを耐え抜いて、たどり着いたウシュグリ村。その景色と空気の美味しさにこれまでの悪路での疲れも吹っ飛び、癒されました!
まずは今晩の宿探しからスタートです。
緑の山々に囲まれていて、とてものどかで静かな空気が流れています。
ウシュグリ村では石がたくさん使われていました。
家は薄くて平たい石を重ねて作られているようです。これだけ平らで薄い石をたくさん積んでいることと、絶妙なバランスでキープしていることに驚きです。
地震などの心配がない土地だからできることなのでしょう。日本だったらきっとすぐ崩れてしまいますよね。
新しい建物も次々建設されているようなので、今後さらに観光地として栄えていくのでしょう。
【ジョージア】ウシュグリ村の宿
ウシュグリ村は小さい村なので、歩いて直接宿を訪ねて行きます。
人気の観光地ということで宿の数が思っていたより多かったので、いろいろ周りながら低価格かつWifiがある部屋を探しました。
ちなみに宿はダブルルームが多く、相場としては30リラくらい。
5件以上回って疲れてきた頃に見つけたのが、この「Qaldea」という宿です。
場所が分かりにくいのですが、このようなテントスペースに入った中にあります。ここも3人用の個室でしたが、料金は20リラ(約1,000円)と安くしてもらえたので、ここに決めました。
メスティアでも遅かったWifiがしっかりあり、速度も速かったので、2日振りにちゃんとしたネットに繋ぐことができました!
それにしてもこんな山の中でもちゃんとWifiが繋がることがちょっと不思議なくらい。でも技術の進歩には感謝です笑
【ジョージア】ウシュグリ村のトレッキング
この日は天気も良かったので、宿でのチェックインと休憩後に、さっそく外の散歩に出かけました。この村からは、ジョージア最高峰の「シュハラ山(5068m)」が綺麗に見え、夏でも村のすぐそばまで氷河が迫っているのもはっきり分かります。
高い位置からの景色が見たかったので、良さそうな山を適当に選んでトレッキングすることにしました。
木がないので、自分の位置がわからなくなることはないのですが、道しるべも細くわかりにくかったです。
さすがにこんなに細い道しるべだと、不安になりますね。。途中で間違った道にそれてしまったので時間をロスしてしました。
トレッキングは、見晴らしも良く木もないためか下から見ると簡単に登れそうに見えたのですが、登り始めるとなかなかの高さがあり、登っても登っても、まだ先には道が続いているような感じでした。
周りには蜘蛛の巣や虫がたくさんいて、一歩歩くたびにバッタが5匹くらいジャンプします(笑)私はとても虫が苦手なのですが、ここまで虫に囲まれているとだんだん慣れていきました。
しばらく登ると、集落がこんなに遠く、小さな点に。本当に山に囲まれた小さな村だということを実感します。
周りの山々の緑がとても綺麗でした。近くに見える隣の山も実際はとても遠くにあるのでしょう。森林がないので、凹凸の色合いまで綺麗に見えました。
終わりの見えないトレッキングも、そろそろ折り返さないと下っていく体力が無くなりそうだったので、道を戻ることにしました。
牛と緑が揃うと牧場にしか見えません。笑
【ジョージア】ウシュグリ村のグルメ
一旦宿に戻り少し休憩してから、夜ご飯を食べるために外に出ました。ほとんどお店の情報がなかったのですが、小さい村なので歩いていれば何かしら見つけられるだろうと軽い気持ちでぶらぶら散策。
しばらく歩いていると、姉妹と思われる女の子2人に遭遇しました。彼女たちはこの村の子供達のようで、英語も話せていました。
外国人の私に興味を持ってくれたようで、ニコニコしながら話しかけてくれます。
レストランを探していることを伝えると、その子たちのお母さんがレストランをやっているということだったので、連れて行ってもらうことに!
歩いていると、道の途中で向こうから羊の群れがやってきました。杖を持ったお爺さんの指示で、きちんと動いています。
突然動物の群れと遭遇するのもこの村では当たり前の光景なのかもしれません。
しばらく歩いて行った先に大きめのお店を発見しました。テラス席もあって、地元の人や観光客も集まってなんだか賑やかな様子。
小さな村なので、きっと村人たちは全員が良く知った仲で、こうやって一緒に集まって食事をすることも多いのかもしれません。
たまたま出会った子供達のおかげで良いレストランを発見できてとても有難かったです。
この村の主婦達が料理を提供しているようで、メニューの種類も多く味も美味しい!
しばらくゆっくりしていると、だんだん日も沈んで来たので宿に戻ることにしました。
来た道を戻っていると、突然周りが真っ暗に!
・・・村全体が停電になったようです。
突然の出来事で驚きましたが、田舎なので仕方がないだろうと思い、携帯のライトを頼りに宿まで戻りました。
家の中では早速ロウソクを使っている家庭もあったので、きっと珍しいことではないのでしょう。
宿に着く頃には電気が復旧していました。
街灯も無いような村では、暗くなった時の懐中電灯やライトは必須ですね。皆さんもウシュグリ村を訪れるときはもしもの時に備えて、スマホで懐中電灯のアプリを準備しておくか、小さくても懐中電灯を持っていくと安心です。
【ジョージア】ウシュグリ村で観る満点の星空
今回私がウシュグリ村に宿泊しようと思った最大の理由は、夜の「星空鑑賞」を楽しみにしていたからです。
日が完全に沈むまで待った後、満天の星空を期待して宿の外に出てみました。さすがに夜ともなると、標高が高い場所なので、空気は一気に冷え込みます。
そして宿から出た瞬間、キラキラと輝く夜空いっぱいの星に驚きました。
街灯はほとんどないので、ライトを使いながら歩いて行きます。外には全然人がいないですが、田舎なので怖いと思うこともありません。
宿は集落の端の方に位置していたので、少し歩けば明かりから離れることができました。
携帯のライトを消すと、一気に目の前に星空の世界が広がります。
数え切れないほどの星空。そして、流れ星も!
これほど綺麗な星空はなかなか見ることができないと思います。
もともと街の明かりが少ない場所であるため、少し歩いただけでも見ごたえは十分です。もっと山の方まで行けばさらに美しいかもしれませんが、ここでも十分すぎる光景でした。
何度見ても信じられない光景だったので、寒かったですがなかなか帰る足が進みません。笑
歩き出しても名残惜しくて、何度も振り返ってしまうほどです。
ウシュグリ村での滞在は日帰りで十分かもしれませんが、この星空を眺めるために宿泊する価値は十分にあります!
【ジョージア】ウシュグリ村との別れ
次の日の朝、メスティアに戻るミニバスを探しにバスの停留所に向かいました。
早朝は豚も寝ています。皆で集まって寝ている姿が可愛いです。
大体のバスはメスティアを9時頃に出発するためか、その時間はまだ数台しか車がありませんでした。
タクシードライバーに値段を聞いたところ、メスティアまでは35リラとのこと。来るときは20リラだったことを考えると割高です。
その日の便を逃すともう1泊しなければいけなくなってしまうので早く予約をしたかったのですが、午後の便を信じて一旦宿に戻ることにしました。
ちなみにその日は曇っており、シュハラ山も見れませんでした。山の天気は変わりやすいので、こればっかりは運です。
午後までは4時間ほどありましたが、宿のリビングルームで待機させてもらえたので助かりました。
再びバス乗り場にやってくるとバンが数台停まっていましたが、観光する時間だったようでドライバーはほとんどどこかへ行ってしまっていました。
近くにドライバーらしき2人を発見したので値段を聞いてみたのですが、その人達はツアー会社のバスで、乗車人数に空きがないとの返事。他の車のことも聞いたのですが、何時に戻って来るかはわからないそう。
これには困りましたが、とにかく他のドライバーが来るまで待つしかありません。
すると、曇っていた空からポツポツと雨が降って来ました。メスティアまで戻れる保証も無い上に無情の雨。これは最悪です。なんだか悪い流れの予感。。
大自然の中にある村では周りに雨宿りできそうな施設もないので、雨を避けるためには遠くまで歩かなければいけません。
すると、さっきのドライバー2人が「車に乗ってていいよ」と助手席に座らせてくれました。ずぶ濡れになるところだったのでとても助かりました。
1人がドライバーでもう1人はガイドのようです。
いずれにしてもこの車は空きがないので、他のドライバーを当たらなければいけません。きっとこの雨で早めに帰ることになるバスがほとんどでしょう。
ここに乗っていては他のドライバーに声をかけることはできないし、帰りの車が無くなってしまっては困るのですが、あまりの土砂降りに、外に出る気にもなりません。
これで逃してしまっても仕方がないか・・と思ってきました。
そうこうしているうちにこの車のツアー客も戻ってきたので、居づらい雰囲気はますます強くなるばかり。。
そんな中、車を少し移動するようだったので「降りるよ!」と言うと「大丈夫だよ」と返され、そのまま乗っていると、なんとそのままその車が出発したのです。
予想外の展開に、慌ててガイドに「え!私大丈夫なの?」と聞くと、ガイドが得意げにYESの返事をしました。なんとそのガイドが自分の席を私に譲ってくれて、立ちながら後ろに乗ってくれていたのです!
申し訳なさすぎるので、私が代わるよ!と言ったのですが、余裕の表情で、さらになんと、お店で買って来たパンを私に手渡して「これ食べていいよ!」とまで。
どこまで優しいのだと、これには感動しぱなしでした。予想していない状況に混乱しましたが、とにかく感謝するしかありません。
そして、困っている時に手を差し伸べてくれる人の優しさほど心身に染みます。。
ドライバーもとても良い人で、来た時とは比べ物にならないくらい運転が丁寧なのです。
路面の状況をしっかりと確認して、衝撃の少ない場所を工夫して走行していました。運転には性格が出るとは、このことですね。
バスの中の雰囲気もとてもよく、ガイドがツアー客ととても仲良いことが伝わってきます。
そして、なんて素敵な人達に出会えたのだ、と心が暖かくなりました。
私はせっせと曇った窓を拭いたりお手伝いをしました。
バスの中で一緒にいるうちに。ガイドが日本に好印象を持っていくれていたことがわかり、母国に感謝しました。
メスティアに到着すると、私だけ降ろしてもらいました。料金も関係なく、困っていた私を乗せてくれたのです。
久しぶりにこんなに暖かい人にあった気がしました。
旅中はいろんなストレスがあり、うまくいかないことや嫌な思いもしますが、たまにこのような素敵な人達に出会うと、旅をしててよかったなーと強く思います。
ウシュグリはまだ観光客が多いとは言えませんが、今後はどんどん増え、インフラも整備されるはず。宿泊する観光客も増えれば、片道ずつの移動ももっと楽になると思うので、是非宿泊込みで訪れてほしいです!