ひとり旅コラム

【アフター・コロナ】コロナ後に変わる一人旅の予測4選

パンデミックを引き起こし、いまだに終息の目途が見えてこない新型コロナウイルス(COVID-19)。新型コロナウイルスの影響で、海外はもちろん、旅に出られない日々が続いています。

アフターコロナ、コロナ後に一人旅はどのように変わるのか、今回はコロナ後の一人旅のあり方、変化についての予測をご紹介します。

1.コロナ後の一人旅を予測するヒント:UNWTO(世界観光機関)のガイドライン

出典:Pixabay(Erika Varga)

2020年5月28日、UNWTO(世界観光機関)はコロナ禍でも少しずつ観光産業を回復へと舵を切るために必要な指針、「Global Guideline」を公表しました。

これは、観光産業を徐々に再開していくに当たって、主に国や政府といった公共機関、旅行・観光産業従事者や、旅客・交通機関に求められる必要な対応や連携をまとめたものになります。

この指針(ガイドライン)の詳細は以下の記事でご紹介していますので、ご興味のある方はこちらの記事もぜひお読みください。

UNWTO(世界観光機関)、観光業の再開に向けたガイドラインを公表

こちらのガイドラインにまとめられている事項を要約すると、大きく以下の3つのポイントにまとめられるかと思います。

・衛生面、健康面に対するより厳格なチェック・ルール体制の整備
・物理的な非接触と除菌、清潔維持の推進
・ITサービス導入の加速

具体的にどのようなことが起こり得るのか、旅行者・バックパッカーの立場からそれぞれ見ていきましょう。

衛生面、健康面に対するより厳格なチェック・ルール体制の整備

現在、世界の国のほとんどが渡航規制を発出しており、仮に海外からの渡航者を受け入れるにしても、入国に当たってはPCR検査の徹底や入国後一定期間の隔離、検温等の自主管理など、厳しい対応を求めています。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が減少に転じ、ワクチンが開発されたとしても、完全にコロナ前の世界に戻ることは難しいでしょう。

新型コロナウイルスに対するワクチンが開発された後でも、旅行やバックパックでの一人旅をする際に、以下のような新しい慣習が当たり前になっているかもしれません。

・海外への渡航に当たっては、渡航日を含む2週間以内の健康状態に関する診断書やレポートの提示が義務付けられる。

・入国の際、イミグレーションにて検温が必須となり、少しでも体調に異変のある旅行者は隔離される。(これにより、入国手続きの時間がさらに長引く。)

・宿泊時のチェックイン時にはマスクや手袋といった衛生キットが提供される。

物理的な非接触と除菌、清潔維持の推進

今ではテレビのニュースで、飲食店やお店のスタッフが店内を頻繁にアルコールで消毒している光景や、スーパー・コンビニのレジにはビニールの幕が張られる光景は当たり前になってしまいました。

これはコロナ後の世界でも引き続き目にする光景になるかもしれません。そして、皆さんの一人旅にももしかすると次のような光景が広がっているかもしれません。

・飛行機の座席は1席ずつ空けての着席となる。

・航空券、電車の切符、施設の入場チケットなどがすべてe-チケットになり、入場も定員制に。事前のオンライン予約が必要になる。

・ゲストハウスやホステルのドミトリーでは、仕切りの設置などが義務付けられる。

ITサービス導入の加速

先ほどの非接触の推進とも関連しますが、物理的な接触を避けるためにはどうしてもITの利用が欠かせません。
これは旅行・観光業者が、旅行者や一人旅の旅人向けに利用するシーンもあれば、すでに海外で実施されている国があるように、行動履歴を把握するために導入するケースも考えられます。

それによって、コロナ後の旅行や一人旅はこのように変わるかもしれません。

・国によっては入国後に位置情報が追跡できるアプリのダウンロードを求められる。

・今まで以上にホテルやゲストハウス、観光スポット以外でも事前のオンライン予約が浸透する。

・旅行や旅を疑似体験できるVR/ARサービスの普及

いかがでしょうか。実際にコロナ後の世界がこのような姿になるかは分かりませんが、可能性としてもゼロではないでしょう。
少しでもコロナ後の旅、一人旅のイメージをお持ちいただけたところで、本題の「コロナ後の一人旅」の予測をしていきたいと思います。

2.コロナ後の一人旅予測①:一人旅へのハードルが上がる

出典:Pixabay(Pexels)

一人旅に出ることに対する心理的なハードル

コロナ後の旅のシーンについて、先ほどいくつか具体的な例をご紹介しましたが、皆様はどのように感じましたか?

おそらく、「なんだか面倒だな。。」とか、「海外だと新しいルールや規制が分からないから、行きにくいかも。。」と思われた方も多いのではないでしょうか。

アメリカで9.11テロが起こった後の世界では、より飛行機の搭乗に当たっての荷物の持ち込みや手荷物チェックが厳しくなりました。
発生から20年近く経ち、今では当たり前のように受け入れていますが、これと同じことがコロナ後に起こる可能性は高く、つまり、特に健康・衛生面に関してより厳しい規制が敷かれるということです。

そうなると、一人旅の道中でも守るべきルールが増えたり、特に自身の体調管理がより求められることになります。
これは言語や慣習の違う海外だとなおさらのことで、こういった不安から海外の一人旅を敬遠してしまう方が増えてしまうかもしれません。

旅費の金銭的なハードル

コロナ後の世界では、旅行や一人旅をするお金もより高くつくことになるかもしれません。その根拠として考えられるのが、先ほどもご紹介した「物理的な接触機会を低減する」という世界的な傾向です。

例えば、飛行機では座席を1席ずつ空けての着席になり、有名な観光スポットや施設では密集状態を避けるために入場者数を制限するかもしれません。
ゲストハウスやホステルでは、8人向けのドミトリールームが4人しか利用できなくなるかもしれません。

もしこのような状況が現実になると、航空会社や観光産業の会社、宿泊施設などはお客さんの回転率が下がることになり売上が減ってしまいます。
そうなると、売上の水準を維持するためには単価を上げる会社が出てくるかもしれません。

これはやや安直な発想かもしれません。ですが、飲食店や映画館では「ソーシャル・ディスタンス」を維持するために設置してある客席のうち、実際に利用できる席数を自主的に制限しています。これは日本に限ったことではなく、アメリカでも同様です。

このような状況を見ていると、コロナ後の世界でもコロナ禍での距離感というものが当たり前になってしまい、店が席を空けなくても、隣のお客さんと距離が近かったり込んでいるお店を避けるお客さんが増えることも考えられ、価格をはじめとしてお客さんへ提供するサービスの在り方が変わることは十分に考えられます。

3.コロナ後の一人旅予測②:一人旅をする人としない人がより明確に

「リモート」 vs 「実体験」:問われる「旅行」の意義

コロナ禍で外出制限が続き、観光業者も軒並み事業の自粛が続いています。このような状況では旅に出たくても出られない、また、出ようという気持ちも半減してしまいます。

一方で、このような状況に追い込まれたからこそ、それをチャンスととらえて新しいサービスに乗り出す人がたくさんいることも事実です。

最近では、「リモート宿泊」を開催している和歌山県、那智勝浦のゲストハウスがニュースに取り上げられているのを目にしました。
これは、リモートで現地の宿泊・観光体験を「疑似体験」できるというもの。

リモートでチェックイン後、同日に予約をした他の旅人とリモートでつながり、ゲストハウスのオーナーも交えて交流を深めつつ、オーナーさんから現地の観光情報やゲストハウスの中をバーチャルツアーしてもらうというのが主な内容です。

参加された人からは、「コロナ後に改めて旅で訪れてみたくなった」という感想が多かったのが印象的でした。

ITやAR/VR技術、さらに今年からは5Gサービスも開始されるなど、今後はますます「家に居ながらの旅行体験」というものが一般的になってくることは間違いありません。

コロナ禍で人気のもう1つのトレンドとして、「お取り寄せ」サービスの広がりがあります。
これまでふるさと納税やオンラインショッピング、実店舗では各都道府県のアンテナショップなどで気軽に日本各地の特産品を楽しめることはありましたが、コロナ禍により、地元の名店、レストランなど、さらに「お取り寄せ」できるサービスが増加しました。
まさに旅行に行かずとも、旅行先の美味しいグルメも味わうことができるというわけです。

そうした「代替えの手段」が多くなってくる中で、それでも「実際に旅に出る」ことに意義を感じることが出来なければ、今後旅をする人としない人、というのは明確に分かれていく時代になっていくのではないでしょうか。

もちろん、ストリーミングで音楽を聴く時代で改めてレコードの良さが認識されるなど、いろいろなサービスが普及してくる中で、旅の良さ、意義が改めて見直されることに繋がり、旅行人口が増えることだって十分に考えられます。

それでも「一人旅」に出る人、出ない人

皆さんが一人旅をされる一番の理由は何でしょうか。

自由に行動できる
誰か、時間に縛られたくない

「一人」であることに魅力や意義を感じて旅をされている方は、コロナ後であっても変わらず一人旅を続けるのではないかと思います。一人旅に取って代わる存在がなかなか無いためです。

一方で、「お金がかからない」とか「目的の場所やアクティビティを体験できるツアーが無い」、「一緒に行く人がいない」という理由から一人旅になっている方は、もしかするとこのようなニーズを満たす新しいサービスの登場によって、「一人旅」である必要がなくなるかもしれません。

特にITをはじめとする新しい技術やサービスの進歩によって、世界はますます便利になっていきます。そうした中で、LCCの台頭にもあるように、旅にかかるお金は「手間と贅沢」を犠牲にすれば今後ももっとリーズナブルになっていくことは十分に考えられます。

また、コロナ後の旅行は、「三密」を避けるためにパッケージツアーも小規模に、一方でより多くの旅行ニーズを満たすために内容はさらに多様になっていくと思われます。

これらを考えると、先ほどの「旅行の意義」と同様、一人旅に関してもそれに意義を感じる人と感じない人の区分はより明確になっていくでしょう。

4.コロナ後の一人旅予測③:一人旅スタイルの変化

出典:Pixabay(Free-Photos)

さて、これまでは大きな一人旅や旅行の潮流に関するマクロ的な予測をしてみましたが、ここではもう少しミクロな視点で、一人旅のスタイルに訪れるであろう変化を大胆に予想してみたいと思います!

「清潔さ」はあらゆる意思決定の重要な基準に

宿泊先の選定

これまで一人旅の計画をする際、例えば宿泊先を探すに当たって皆さんはどのような基準で滞在先を選んでいましたか?

・価格
・アクセスの良さ
・スタッフ対応
・清潔感

挙げてみると意外と選ぶ基準が多岐に渡っていることに気づきますが、コロナ後はこの中でも「清潔さ、衛生管理」のポイントがより重要視されると思っています。

例えば、

・チェックイン時に衛生キットや、マスクなどの無料配布サービスがある
・周辺の病院情報なども充実している、病院に近い
・ドミトリールームの仕切り板の有無
・シーツや清掃の頻度

など。

冒頭でご紹介した通り、もしかするといくつかのルールが国によっては義務になるかもしれません。ですが、もし宿泊先を選ぶときにこのような対応、環境が整っている宿泊先とそうでない宿泊先では、多少値段が高くても衛生管理・対応の行き届いた宿泊先を選ぶ方が増えるのではないでしょうか。

持ち物

また、一人旅での持ち物に「除菌シート」や「ウェットティッシュ」は欠かせなくなりそうです。最近では持ち運びが便利なアルコールジェルなども普及しているので、荷物にもかさばらないこのような衛生グッズは旅をする上では必須となるでしょう。

持ち物はミニマリストに

衛生グッズの携帯が欠かせなくなる一方で、持ち物の量自体は今後は少なくなっていくと思います。
世界一周のバックパッカーだと、60リットルサイズ以上の大きなバックパックを担いだり、そういったバックパック姿を見ると「これぞひとり旅のバックパッカー!」とカッコよく感じてしまいますが、今後は新たなサービスの出現と合わせてどちらかというと、より手軽に旅を楽しむスタイルにシフトするのではないでしょうか。

例えば旅に持っていく荷物で大きな部分を占めるのが衣類。
ですが、このコロナ禍でも「帰宅後はすぐに洗濯機に入れてまずはお風呂へ」という方も多いのではないでしょうか。

結局、物理的なモノは今後はそれだけ感染確率が高まる、ということで極力持たないか、もしくは除菌や洗濯の頻度を上げるしかありません。

日本のホテルなどでは、浴衣が用意されていることが多いですが、例えば今後は海外でもゲストハウスやホステルで下着以外の衣類の準備がしてあり、滞在時は自由にそれらを着ることができ、チェックアウト時には回収箱に放り込んで終わり!
だと、エコですし日本から持っていく荷物の量も大きく減らすことができますよね。

事前の計画がより大切に

冒頭でご紹介したUNWTOのガイドラインから見るに、今後はより多くの観光スポットや施設が事前のオンライン予約を導入し、当日の受付業務を減らすことになると思われます。

そうなると、例えばその日に思い立ってある観光スポットに行ってみたけど、当日の受付はすでに締め切られていて、入場できなかった、、
というがっかりな結果になってしまうかもしれません。

ガイドラインに見るこのような傾向は、より事前の計画的な行動が求められることになり、一人旅の醍醐味でもある「自由で気ままに、その場の思い付きでの行動」が楽しめなくなりそうです。

これまで筆者もどちらかと言えば、現地での細かい予定は組まず、旅先での状況に合わせて旅を楽しんでいたので、事前に計画準備が必要になると、やや窮屈に感じてしまいます。

5.コロナ後の一人旅予測④:一人旅に求められる3つの価値

それでは最後に、コロナ後の世界で人々は「一人旅」に何を求めるのか、一人旅でしか得られない3つの価値を提唱してみたいと思います。

新たな発見

一人旅というのは、常に新しい発見を私たちにもたらしてくれる存在です。
見知らぬ土地や国を旅して、そこで初めて知ることはどんなに些細なことでも、新鮮さと感動を与えてくれるとともに、世界の広さを教えてくれるようでもあります。

これはコロナ後も、コロナの前でも変わることはありません。
ですが、コロナ後においてはより一人旅でしか得られない発見にその価値が求められていくはずです。

例えば、先ほどご紹介した通り、今後はどこにいても世界の絶景や風景を疑似体験することができるようになります。
その体験は、ますます実際の体験にも劣らないぐらいよりリアルなものになっていくでしょう。

そうなると、何も知らずに旅先で見聞きした初めての発見のインパクトは、相対的に小さくなっていきます。

新たな出会い

一人旅に限らず、「出会い」というのはいつ、どんな場面で起こるものか分かりません。
人との出会い、自分が熱中できる何かとの出会い、新しい価値観や文化との出会い。

「出会いの方法」として一人旅は唯一無二の存在ではありませんが、一人旅をしたからこそ得られる新しい出会いがあることも間違いありません。

特別感

皆さんが今までの一人旅で一番印象に残っていること、ハイライトはどんな場面でしょうか。

もちろん、ずっと夢見ていた絶景を見た瞬間や美味しい料理を食べた時、旅人との出会いなどたくさんあるかと思いますが、意外と「些細な出来事」としてちょっとしたハプニングや、何か失敗談と言ったものも覚えていたりします。

筆者が思うに、一人旅の価値というのは「特別感」にあると思っています。
これは大きく2つに区分出来て、1つは「予期せぬ出来事、予想だにしていなかった出来事」から来るインパクトと、もう1つが「自分だけしか体験していないとっておきの経験」から来るものです。

前者は言ってみれば「偶然の産物」なので、一人旅をしてみてのお楽しみという部分がありますが、後者はコロナ後で少し変わってくるかもしれません。

というのも、先ほどの「新たな発見」でも触れたように、これからはいわゆるメジャーな観光先、旅行先よりもその地域に根付いた文化や慣習を体験できたり、また自分の趣味・熱中できるものを追求する旅がより一人旅のテーマとして一般的になっていくからです。

 

いかがでしたでしょうか。皆さんはコロナ後も変わらず一人旅をしたいですか?また、コロナ後の一人旅は何かが変わっていると思いますか?
ぜひ皆さんの意見もお聞かせください!

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