【世界遺産】タージ・マハルを100倍楽しむためのマメ知識(準備編:その1)

インドにある世界遺産はなにか?と聞かれて、おそらく真っ先に思いつくのがタージ・マハルではないでしょうか。

鮮やかなわけではなく、ただ真っ白く、それでいて完成された形式美は、ひとたび目の当たりにすると誰でもしばし立ち止まってしまうのではないか-。そう思えるほど素晴らしく美しいタージ・マハル。皆さんはどのくらいご存知でしょうか?

俗説的には、「インドの王様が愛する妻のために建てたお墓」と言われるタージ・マハル。果たして本当に「愛の結晶」として生まれたのでしょうか・・・!?

これを読めばその答えが見えてきます!

 

タージ・マハル誕生までの物語

白く美しいタージ・マハル

時は1631年6月7日、当時のインドを治めていたムガル帝国第5代皇帝であったシャー・ジャハーンは他国との交戦のさなか、妻であるムムターズ・マハルが出産間近であると同時に危篤である報告を受け、急きょ妻の元へ駆けつけました。

それまで幾度となく出産を経験してきたムムターズでしたが、今回は残念ながら子どもを産んだ直後に亡くなってしまいます。

その最期の時、ムムターズは自分の死期を悟って、夫であるシャー・ジャハーンに2つのお願いを託しました。

1つは、自分が死んでも自分以外の女性を妻に迎えないこと。

そして、もう1つ。自分のために、自分の名前が後世までずっと残るような、立派なお墓を作ってほしいこと。

 

この話が事実であったのか、はたまた伝説の1つとして語り継がれているかは定かではありません。

ですが、妻の死後、シャー・ジャハーンは直ちに妻のためのお墓の建設に着手します。ムムターズが亡くなった翌年の1632年のことです。

そして、そこからなんと22年の歳月と2万人の人員を投入して、ついにタージ・マハルが完成しました。

この22年という長い年月は、シャー・ジャハーンが皇帝の座にあった年月の3分の2に及ぶと言われています。

まさに、シャー・ジャハーンの人生を懸けた一大プロジェクトだったといっても過言ではありません。

完成したタージ・マハルはその後400年近く経った今でもその見事な姿を私たちに見せており、ムムターズの望んだとおり、世界の歴史にその名を刻んだのです。

それでは、タージ・マハルがどのような構造になっているのか、簡単に見ていきましょう。

なぜ美しい?タージ・マハルの構造上のヒミツ

タージ・マハルを上から見た平面図(出典:Wikipedia)

上記のタージマハルの平面図のうち、タージ・マハルの境内にあたるのは図の下に示されている数字の2から4の部分です。

この部分だけでも、南北(上記の図でいうと左右)に560メートル、東西に303メートルというかなり広い敷地になっています。

それでは、タージ・マハルがなにゆえ美しく感じてしまうのか、その秘密についていくつかご紹介します。

完全なシンメトリー(左右対称)に造られている構造

まずタージ・マハル最大の特徴が、完全なシンメトリーになるように造られていることです。

シンメトリーとは、左右対称のこと。

上図の平面図を見ても分かる通り、これを上下半分に折ってもぴったりと重なりますよね。

水面でもシンメトリーが見事なタージ・マハル

南門の楼門(平面図の4と5の境目)から入り、目の前に圧倒的な存在感をもって現れる廟堂(本堂のこと。平面図で2のエリアの中央の建物。上写真中央の建物。)はもちろん、その横に備えられた池から、四隅に建てられた尖塔(上写真に写っている細長い4つの塔のこと)に至るまで、4方向どこから見てもシンメトリーになっています。

写真には水面のちょうど中央に廟堂の中心が映っていることが分かりますね。

廟堂の前には庭園が設けられており、そこには噴水や水路がめぐらされていますが、この水路も廟堂を含めた全体の中央を南北に走っていることで、このような美しい姿を見ることができるのです。

ここまでの見事な造りは圧巻の一言です。

イスラム教とシンメトリー

なぜここまでシンメトリーにこだわるのか。

それは、この幾何学的な対称性はイスラム教がもっとも理想とした形式美であり、秩序の表れと考えていたからです。

この価値観は、イスラム教では建築や工芸、美術において広く浸透しています。

徹底したシンメトリーにこだわって造られたタージ・マハル。ですが、残念なことに1か所だけシンメトリーになっていない場所があります。

それは廟堂の地下に眠っているムムターズとシャー・ジャハーンの棺です。

もともとムムターズだけが眠っていたタージ・マハルですが、シャー・ジャハーンも死後、タージ・マハルに埋葬されました。

ですが、この棺の大きさは当然ながらシャー・ジャハーンの方が大きく、また無造作にムムターズの棺が置かれていた隣に並べられたため、シンメトリーが崩れてしまいました。

なぜこのようなぞんざいな扱いがなされてしまったのか-。それについてはまた別の記事でお話しすることにしましょう。

圧倒的な存在感と安定性を見せる廟堂のヒミツ

太陽光の反射で様々な顔を見せる廟堂

最後にもう1つ、圧倒的な存在感を見せる廟堂について、その秘密をご紹介しましょう。

廟堂は正方形の四隅を切り落とした八角形の形をしています。そして、その屋根はなめらかな曲線を描いたドーム状の形をしています。

上の写真からはあまり感じられませんが、廟堂の高さ58メートルのうち、このドーム型の屋根の部分は30メートル以上もあります。

一見すると不格好にも見えかねない丸屋根とそれを支える八角形の本体のバランスが絶妙であると同時に、この堂々とした丸屋根がタージ・マハルの存在感を演出している1つでもあるのです。

その証拠に、廟堂の中に入って見上げる天井は実は24メートルほどしかなく、全体の58メートルの高さの半分もありません。

ドーム型の丸屋根は外から高く見えるよう、わざわざ天井の上に置かれたことが分かります。

ちなみに、廟堂本体の横幅は約57メートル。高さ(丸屋根の上に線上に伸びている頂華を除く)が58メートルであることを考えると、こちらも立体的に正方形の形になっていますね。

そして、四隅に建てられた尖塔。こちらは廟堂に比べるとあまりにも細く、頼りなく見えてしまいます。

それもそのはず、この4本の尖塔は中央の廟堂に目を向けさせるための演出役であり、こちらが目立ってはいけないのです。

 

いかがでしたでしょうか。

まだまだ見どころの多いタージ・マハル。続きは次回!

(参考:「タージ・マハル物語」 渡辺建夫 朝日選書(朝日新聞社))

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