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世界遺産検定マイスター:難易度、合格率は?最短合格のための勉強法とコツを大公開!

2020年9月に受験した世界遺産検定2級から同年12月の1級、そして2021年7月の世界遺産検定マイスターに最短合格した経験をもとに、マイスターに関する基本情報から、合格するための攻略ポイント、勉強法をご紹介します!

世界遺産検定マイスターの難易度は?合格率はどのくらい?

マイスターと1級、どちらが難しいか

世界遺産マイスターを受験するためには、世界遺産1級に合格している必要があります。ここでは、世界遺産マイスターを受験される方はすでに世界遺産検定の概要や試験の制度について十分な知識をお持ちであると思われるため、基本的な事項についての説明は省略します。

世界遺産マイスターの特徴は何といっても世界遺産検定の中では唯一の論文式の試験であることです。
マイスターの試験は、「世界遺産の理念や世界遺産条約」と「世界遺産に関する出来事、時事問題」に対する総合的な理解力を問うものであるため、純粋に1級と比較することはできません。

ですが、1級がどちらかというと「テキストに書かれた知識」を覚える試験であるのに対し、マイスターは「世界遺産に対する自分の考えが試される」試験なので、どちらが難しいと感じるかは人それぞれ違うと思います。

割り切って暗記が必要な部分もありますが、1級に比べると覚える量は格段に少ないマイスター。問われるのは世界遺産に対する自分なりの考え方であり、どんな事にも共通することですが、世界遺産に興味を持ち、日常で世界遺産のニュースをチェックされている方であれば、1級を合格されて基本的な知識は身についている以上、自ずと合格の可能性も高くなるでしょう。

ちなみに、筆者の場合はマイスター試験への対策と準備に費やした時間は、1級に比べて格段に少なかったです。

マイスターの試験内容と合格率

マイスターの試験内容はすべて論述式の問題で全3問、時間は120分になります。

問題内容も毎回出題傾向はほぼ同じで、下記の通りです。

問題①:世界遺産制度に関する定義を問う問題(3つ)
問題②:世界遺産条約に関して、指定された4つのキーワードを使って400字以内で説明する
問題③:世界遺産に関する出来事や課題などに関して1,200字以内で論じる

世界遺産検定の公式ページによると、合格基準点は20点満点中の12点、つまり6割となっていますが、注意すべきは問題①・②で6点、問題③で6点以上を獲得していなければ、足切りにより不合格になってしまう点です。

このため、比較的試験対策が容易な問題①と②で満点に近い点数が取れたとしても、問題③で全く見当違いな解答をして点数が伸びなければ不合格になってしまいます。

また、上記の点数配分から考えると、20点満点は問題①と問題②で10点、問題③に10点が配分されていると考えられ、やはり最も論述のボリュームが多い問題③をいかに攻略するかがマイスター試験に合格するための最大のポイントです。

準備を万全に!マイスター試験当日の流れ

試験の進み方

世界遺産検定では唯一の論述式試験ということもあり、当日の試験の流れがどのように進むのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

ここでは簡単に試験当日の流れをご紹介しておきます。

試験開始時間20分前ぐらいから試験会場の教室が開場になるため、受験番号の書かれた座席に着席して、試験が始まるまでにアンケート用紙への記入を済ませ、筆記用具等の準備をして待ちます。

試験開始10分前になると試験官から説明と、問題用紙・解答用紙が配布されますが、ここで気を付けて頂きたいのが解答用紙と合わせて下書き用紙も配布されること。

問題用紙はA4サイズ1枚、問題用紙と解答用紙はそれよりも大きいB4サイズほどの大きさの紙がそれぞれ2枚ずつ配られます。(すみません、解答用紙の大きさが曖昧です。。)
ですので、問題用紙を含めると配布される紙は全部で5枚。

このうち解答用紙には受験番号を記入する欄があり、配布されたら記入して紙を裏返しにして試験開始の合図を待ちます。

そこから試験官の時計をベースに2時間の試験に臨むことになりますが、マイスター試験に関しては途中退出が認められていません。ですので、たとえ早く解答が終わっても試験終了まで座席に着席していなければなりません。

試験10分前ぐらいになると試験官から残り時間のアナウンスがされます。

試験での注意点

世界遺産検定では唯一の論述式試験であること、また最難関の試験でもあり、少なからず試験当日は皆さん緊張されることと思いますが、だからこそ気を付けて頂きたい事項を強調しておきます。

下書き用紙と解答用紙を確認すること!

下書き用紙と解答用紙は同じ大きさで2枚ずつ配られること、また試験が始まると時間との戦いであり、頭の中で組み立てた解答を解答用紙に書いていくことで頭がいっぱいになるかと思います。

そんな中で解答用紙だと思って書いていたら実は下書き用紙に書いてしまっていた、、ということが起こっても不思議ではありません。仮に途中でそのことに気付いたとしても、また1から解答用紙に答えを書いていかなければならず、その時間ロスは相当なものになってしまいます。

解答を書くときは必ず下書き用紙ではなく解答用紙に書いていることを確認してから、答えを書くようにしましょう。

正しい時間配分で進められるかが合否を分ける!腕時計は必ず持参しよう

筆者はこれまで試験で時間が足りなくなることはなかったため、マイスターの試験当日も時間を確認するための腕時計を持参しませんでした。
そして、試験会場の教室内にも壁掛け時計は無いものと思ってください。

そうすると、当たり前ですが腕時計が無ければ2時間の試験を時間配分を考えて進めることができません。

マイスター試験は論述試験であり、問題①と②はある程度万全の準備対策ができる一方、問題③に関してはその場で問題を読み、すぐに論述する解答の段取りを考えなければなりません。

後ほど詳しくご紹介しますが、問題③の解答は1,200文字。初めて見る問題に対してまず何を書くか、そしてそれをどのような流れで書くか、さらにそれぞれの段落で何文字程度書くべきか、これらを瞬時に決めることはよほどの訓練を積んでいなければほぼ不可能です。

そのためにも、2時間の試験時間の内、どれだけの時間を問題③に費やし、さらにその中で解答の主旨と組み立てを練る時間、各段落の文字数に満たす内容のドラフト、最後に解答用紙への清書の時間配分をどのようにすべきかを予め考えておくことは非常に重要で、試験本番もその時間配分に沿って解答を進めていくようにしましょう。

筆者は腕時計を持参しなかったため、あとどのくらい時間が残っているのか全く分からず、問題③では思ったように文字数を埋めることができずに最初から修正するべきか、でも修正している間に時間が来たらどうしよう、、とかなりピンチな状況でした。

下書き用紙と解答用紙

マイスターの試験は問題②が400文字以内、問題③が1,200文字以内と指定があり、解答を準備する時には文字数に気を配る必要があります。

ちなみに、解答用紙は問題②と問題③に関しては文字数が把握しやすいようにマス目になっているので、その点はご安心ください。

2枚の下書き用紙もマス目が入っており、下書きも文字数を確認しながら利用することができるのですが、解答用紙と問題用紙のマス目は微妙に異なっている点に注意が必要です。

こちらもうろ覚えで恐縮ですが、下書き用紙のマス目は1行30文字なのに対し、解答用紙のマス目は問題②、③のマス目の1行の文字数はそれと違っていたはずです。

問題①を攻略する!勉強法と対策

それでは具体的に各問題の攻略法と勉強法、対策方法をご紹介していきます。
なお、マイスター試験の問題概要については世界遺産検定の公式ページにて過去の問題について「講評と学習方法」が公表されていますので、必ずこちらも合わせてご参照ください。

問題の概要と出題形式

第1問は、世界遺産に関する語句を「簡潔」に説明する問題です。

問題文は「簡潔に説明しなさい。」としか記載されていませんが、世界遺産検定のホームページにて公表されている講評によると、「50文字以内」と具体的な文字数制限が記載されていますので、必ず50文字以内に収まるよう解答することがポイントです。

先ほど、試験の流れで問題用紙について少しふれましたが、問題①に関しては解答用紙の解答欄にマス目は表示されていませんので、文字数については必ずご自身で確認する必要があります。

勉強方法と対策

基本的な勉強・対策方針

問題①の勉強方法としては、割り切って世界遺産に関する語句の定義を暗記するしかありません。

基本的に出題される語句は、そのほとんどが世界遺産検定1級の公式テキスト(上)の「世界遺産の基礎知識」に出てくるものですので、勉強と対策は1級の公式テキストを利用して進めるようにしましょう。
余裕のある方は同じく世界遺産検定1級の公式テキスト(上)(下)のコラム、特に危機遺産や絶滅危惧種、無形固定資産などもしっかりチェックして語句を50文字以内で説明できるようにしておくと良いです。

おそらく受験者のほとんどが行っている勉強方法と同じですが、基本的な勉強・対策方針は下記の通り。

ポイント

①「世界遺産の基礎知識」に出てくる語句をリストアップし、それぞれを50文字以内で説明する解答をワードやエクセルで準備
②準備した解答をひたすら繰り返して暗記する
③準備した解答についても、勉強や対策を進めていく中でその内容をブラッシュアップしていく

合格点を取るためのポイント

勉強方法と対策は非常にシンプルな問題①ですが、合格ラインに達する点数を確実に取るための準備というのは意外と苦労するかもしれません。
というのも、「50文字」という限られた文字数で「キーワード」を外さずに問われている語句を説明する、というのはなかなか一筋縄ではいかないためです。

具体例を挙げてみます。「世界遺産基金」について考えてみましょう。
世界遺産検定1級公式テキスト(上)「世界遺産の基礎知識」のセクションを読んでみると、世界遺産基金について概ね下記のような説明が記載されています。

・ユネスコの財政規則に基づき1976年に設立された信託基金
・世界遺産条約締結国のユネスコ分担金の1%を超えない額の拠出金の他、政府間機関や個人からの拠出金などを財源としている
・世界遺産条約締結国は2年に1度、拠出金を支払わなければならない
・世界遺産基金への拠出金支払いが遅延している締結国は、世界遺産委員会の委員国に選出される資格がなく、緊急援助以外の国際的援助も受けることができない
・世界遺産基金は世界遺産委員会が決定する目的にのみ使用することができる
・世界遺産基金の拠出に際して、いかなる政治的条件をつけることもできない
・世界遺産基金の運用基準は緊急援助、準備援助、保全・管理援助に区分される

1つの語句の概要だけでもこれだけのボリュームがあるなか、端的に50文字で説明するためには含めるべき「キーワード」を取捨選択する必要があるのですが、これがなかなかに難しいです。

ちなみに、「世界遺産基金」を問う問題は過去に出題されており(出題される語句は限られているので、数年に一度出題される)、講評によると、上記の概要の中で必ず含めるべきキーワードとして下記の2点が挙げられています。

・ユネスコの財政規則に基づき設立された信託基金
・世界遺産基金は世界遺産委員会が決定する目的にのみ使用することができる

いかがでしょうか。正答に近い解答が出来ましたでしょうか。

このように、50文字以内に解答をまとめる時にどのキーワードを含めるべきか、それを決めるポイントとして筆者が考えるのは下記のポイントです。

ポイント

・そもそもその語句は何のため(目的)にあるものかを考える
・その語句を何の基礎知識もない人に説明することを想定した時に、用意した解答で概要を理解してもらえそうか。特に、「・・・それで?」という反応をされそうな解答になっている場合は、その語句の周辺や細かい点だけが説明されていて、「核心部分」の説明になっていない可能性が高い

先ほどの「基本的な勉強・対策方針」のポイント③にも記載していますが、問題①に関しては一通り解答を準備出来たとしても、必ず暗記やその他の勉強の中で絶えず見直しを行い、必要に応じてブラッシュアップしていくようにしてください。
キーワードを少し変更したとしても、それまで暗記した内容が無駄になる事はなく、1から暗記するよりもはるかに簡単に暗記できるはずなので、「暗記してしまったから今さら解答を変えたくない!」という考えは捨てましょう。

問題②を攻略する!勉強法と対策

問題の概要と出題形式

問題②は世界遺産条約の内容を、指定された4つのキーワードを使用して400文字以内で説明させる問題です。

筆者個人としては問題①よりも問題②の方が確実に合格点が獲得しやすい問題と考えており、こちらはぜひ確実に試験対策をしてほしい問題になります。

問題②については400文字以内、という文字数が指定されているため、解答用紙の解答欄もマス目が用意されています。最終問題の問題③では、解答の記載方法にも段落分けなど気を付ける必要がありますが、問題②については文字数も限られており、段落等気にする必要はありません。
通常の長文解答の要領で解答しましょう。

1点注意点として、指定された4つのキーワードを文中で用いる必要がありますが、キーワードを記載した部分については「下線を引きなさい」と問題文に指示がありますので、こちら必ず忘れないように下線も引いてください。

勉強方法と対策

基本的な勉強・対策方針

問題②に関しても基本的には問題①と同様、世界遺産検定1級の公式テキスト(上)の「世界遺産の基礎知識」のセクションを読んで勉強を進めていくことになります。

が、実はこの方法での勉強をずっと続けることはあまりお勧めしません。

というのも、問題②で問われているのはあくまでも「世界遺産条約」についてであって、指定されている4つのキーワードの内容が聞かれているわけではないからです。世界遺産検定の公式ページで公開されている講評でも「指定された語句を羅列しただけでは点にならない」と明確に記載されています。

この点、「世界遺産の基礎知識」は世界遺産条約の内容に沿って説明がされているわけではなく、逆に世界遺産条約の内容が各論点に区分され、その論点に関する詳細な説明が項目に分けてなされている構成になっています。
このため、テキストを読んでいても、世界遺産条約とどのように関連しているのか、が掴みにくいのです。

例えば、問題②の過去問で4つの指定キーワードに「報告」というキーワードが含まれていたことがあります。
「報告」という言葉があまりにありきたりすぎて、このキーワードをどのように使用すればよいのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。

ですが、世界遺産条約の原文を読むと「Ⅶ 報告」というセクションがあり、このセクションに記載されている条文の内容をベースに解答すればよいことが分かります。

ですので筆者おすすめの勉強法としては、下記の通りです。

ポイント

①問題①の対策と合わせて公式テキストを読み込む
②「世界遺産条約」そのものの条文原文(日本語訳したもの)を読み、その構成と各条文の内容とテキストの内容を紐づけて考える
③キーワードごとに世界遺産条約を説明するための文章を個々に準備しておき、4つのキーワードで上手く文章を組み立てる

合格点を取るためのポイント

問題②は問われていることにきちんと答える勉強対策をしていれば、高い確率で合格ラインの得点を獲得できるはずです。合格点を取るためのポイントとしては、先ほどご紹介した基本的な勉強・対策方法の③が合否の分かれ目になるでしょう。

4つのキーワードをいかに上手く使用して世界遺産条約について説明するか、一見難しいと感じられるかもしれませんがコツを掴んでしまえば実はどのようなキーワードの組み合わせであってもある程度簡単に対応することが可能です。

そのコツ、というのは「世界遺産条約」が作られたそもそもの「目的」が何だったのか、を常に頭に入れておくこと。なぜこれが重要かというと、当然世界遺産条約の各条文は、この目的を達成するために必要だから組み入れられたものだからです。

言い換えると、「4つのキーワードは世界遺産条約の目的を達成するためにどのように機能しているか、なぜ必要なのか」を解答していけば良いのです。

もう少し具体的にご説明しましょう。

世界遺産条約が何のために作られたか、それは

「地球上の重要な文化遺産や自然遺産を新たな脅威から守り、これを次世代に伝えていくための国際的な協力の枠組み」

の構築です。

この目的に対して、5W1Hに即してキーワードを関連付けると下記の通りになるかと思います。

ポイント

条約の対象となる遺産(What):世界遺産、顕著な普遍的価値
条約の遂行者(Who):世界遺産委員会、世界遺産締結国会議など
条約の目的をどのように達成するか(How):世界遺産基金の設定、教育・広報活動など

このように、指定されたキーワードがいかに世界遺産条約の目的に関連しているかを分かるように解答文案を組み立てれば、間違いなく合格点に達するはずです。

ちなみに筆者は、どのようなキーワードの組み合わせであっても必ず冒頭に世界遺産条約の目的について説明する文案を入れていました。

どのような文案にするかは皆さんそれぞれ異なるかと思いますが、講評にも記載されている通り、指定された文字数の8割、つまり320文字以上は記載するようにしましょう。

問題③を攻略する!勉強法と対策

問題の概要と出題形式

世界遺産検定マイスターが最難関であるのは、問題③の論文式問題のためといっても過言ではなく、問題①・②はある程度対策と勉強方法があるのに対し、この問題③に関しては世界遺産に対する総合的な知識と考えが求められます。

問題内容としては世界遺産を取り巻く時事問題に関して、具体的な事例を挙げながらその是非を論じるものになります。
過去問をみても、新型コロナウイルスの影響やオーバーツーリズムなど近年特に取り上げられることの多いトピックに関する問題が出題されているため、常に世界遺産に関するニュースや時事問題をチェックし、知識をアップデートしておくことが必要です。

解答は1,200文字以内とされており、解答用紙まるまる1枚を使って解答を記載していくのですが、解答用紙にはマス目が記載されているため、文字数カウントはあまり気にしなくてよい点はご安心ください。

勉強方法と対策

基本的な勉強・対策方針

世界遺産に関する時事問題からの論述式の問題のため、効果てきめんな勉強法や対策というのはなかなか難しいですが、下記の準備はしておきましょう。

ポイント

①日本から新たに世界遺産登録に向けて推薦され、世界遺産委員会で決議予定の推薦遺産について調べる
②直近の世界遺産委員会での決議内容や議論内容を調べる
③日本の世界遺産が抱えている課題や問題点を調べ、自分なりの意見を用意しておく
④日本だけでなく世界の世界遺産に関して起こっている出来事やニュースに目を通しておく
⑤特に有名な世界の世界遺産が抱える課題や問題点を調べ、自分なりの意見を用意しておく

1級までの世界遺産検定同様、マイスターの試験においても日本の世界遺産に絡めた問題というのはこれまでも出題されています。ですので、まずは推薦遺産も含めて日本の世界遺産について改めてテキストを読み直し、またネット検索などを通じて日本の世界遺産が抱えている課題について把握しておきましょう。

①日本から新たに世界遺産登録に向けて推薦され、世界遺産委員会で決議予定の推薦遺産について調べる

2021年の世界遺産委員会にて登録が決定しましたが、日本から推薦されていた「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」と「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、単にその内容を調べるだけでなく、例えば下記事項にも留意していろいろな側面からこれらの世界遺産を考えてみてください。

・「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」は日本の自然遺産では唯一(ⅸ)が認められず、(ⅹ)のみでの登録となっている。
・「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」は1回目の世界遺産推薦ではICOMOSから「登録延期」勧告を受け、申請を取り下げた経緯がある。→ICOMOSから指摘された課題、問題点は?
・「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」が抱える課題

・「北海道・北東北の縄文遺跡群」は先史時代の世界遺産であり、グローバル・ストラテジーに沿う世界遺産となっている。
・「北海道・北東北の縄文遺跡群」はその構成遺産の所在地、内容からシリアルノミネーションとなっている。
・「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」が抱える課題

②直近の世界遺産委員会での決議内容や議論内容を調べる

年に1回開催される世界遺産委員会では、世界遺産の登録審議以外にも多くの議論が交わされることになります。特に注目を集める議題がある場合には事前にニュースになる事も多いため、こまめにニュースなどをチェックするようにしましょう。

例えば、2021年の世界遺産員会ではオーストラリアの自然遺産、「グレート・バリア・リーフ」の危機遺産リスト入りが決議される可能性があるということで、保有国のオーストラリアが強く反発を示すなどニュースにも多く取り上げられていました。

このニュースを通じて、

・「グレート・バリア・リーフ」が抱える課題と問題点(自然破壊とオーバーツーリズム)
・危機遺産への登録を巡る是非と対立

といった論点が浮かび上がってくると思うので、それぞれについて内容と自分なりの考えをしっかり持っておくようにしましょう。

③日本の世界遺産が抱えている課題や問題点を調べ、自分なりの意見を用意しておく

日本の世界遺産は2021年現在、まだ1件も危機遺産に登録されているものはありません。ですが、課題や問題が全く無いというわけではなく、それぞれの世界遺産が少なからず課題を抱えています。

日本の世界遺産が抱えている課題については、世界遺産検定1級の公式テキストでも簡潔に紹介されているので、そちらを参考にしながら、それぞれの世界遺産のホームページや取り組み事例などを調べてみましょう。

④日本だけでなく世界の世界遺産に関して起こっている出来事やニュースに目を通しておく

世界の世界遺産に関する出来事はなかなか大きくニュースで取り上げられることは少ないですが、「世界遺産アカデミー」のホームページでは毎日のように世界遺産に関するニュース記事のリンクを更新しているので、こちらは是非目を通してみてください。

⑤特に有名な世界の世界遺産が抱える課題や問題点を調べ、自分なりの意見を用意しておく

特に人気の世界遺産、例えば「ヴェネツィアとその潟」や先ほどもご紹介した「グレート・バリア・リーフ」、残念ながら火事で損傷を受けたフランス・パリの「ノートルダム大聖堂」などもやはりオーバーツーリズムや自然環境破壊、災害からの修復といったそれぞれの課題を抱えています。

重要なことは、「具体的な事例」を自分の引き出しとして貯めておくことと、世界遺産が抱えている課題に対して自分ならどのような対策を考えるか、というのを常に自問自答しながら記事やニュースを読む、ということかと思います。

これ以外にも、世界遺産テキストで紹介されている課題を持った世界遺産は、最新の情報を常に仕入れておくようにしましょう。特にシリアなど紛争により危機遺産リストに多く登録されている国や、最近ではイスラエルとパレスチナの武力抗争が激しさを増していることもあり、パレスチナの世界遺産の内容や、緊急的登録推薦という制度の是非についても広げて考えるようにしてみてください。

合格点を取るためのポイント

基本的な勉強・対策方法を踏まえたうえで、問題③で合格点を取るために重要なことは、以下の2点です。

ポイント

①論述式特有の解答方法を身に付ける
②自分の「引き出し」を上手く利用する

下記は筆者がこれまでの過去問を基に作成した仮問です。

「近年、世界遺産の登録数が増加する一方で、経済的な理由からその保護・保全が困難な状況にある世界遺産の増加が問題となっている。このような問題に対してどのような対策が考えられるか、具体的な遺産の例を取り上げながら、1,200字以内で論じなさい。」

皆さんはこの問題に対してどのように解答を組み立てますか?

留意すべきポイントは、単に「考えられる対策」と「その具体的な事例」だけを述べても合格点には到達しないということです。

確かに問われていることは「どのような対策が考えられるか」ということなのですが、「論ずる」というのは単に考えと事例を列挙することではありません。

上記の問題に対する解答ですと、例えば下記のような組み立てが考えられます。

問題の概要と背景を記載:
世界遺産基金の拠出金が限られており、世界遺産が増加すると1つ当たりの遺産に割り振られる基金は減少していく一方、世界遺産の登録に上限は無い(1回の世界遺産委員会での検討数は上限アリ)ため、その持続可能性が課題となっている。

問題に対する対策の概要を説明:
世界遺産はそのネームバリューもあり、近年では観光資源として有効活用されている。世界遺産を有効な観光資源として活用することで、その収入を保全・維持に充てることが可能になり、世界遺産基金に頼らず持続可能な保全が確立できる。

具体的な事例を説明:
ブウィンディ国立公園は世界的にも有数のマウンテンゴリラの生息地であり、近年ではそのトレッキングツアーが人気を博し、観光収入の増加により国立公園の維持だけでなく、管理スタッフの人件費も賄われている。

具体的な事例の課題も説明:
一方、観光業が盛んになることでブウィンディ国立公園の周辺の開発が進み、多くの住民が生活をするようになったが、それによりマウンテンゴリラの生息地の開発問題や、マウンテンゴリラへの伝染病リスクが高まるなどの懸念も出ている。

結論(総括):
以上のことから、今後個々の世界遺産の価値を上手く経済的価値に結び付けていくことが重要であり、観光資源としての世界遺産の可能性を考えることは有効である。そのためには、世界遺産の観光資源としての価値を十分に検討するとともに、周辺地域に住む地元住民の協力が必要不可欠である。一方、オーバーツーリズムの問題が引き起こされる可能性があるため、経済的なインセンティブだけでなく持続可能性の観点からも検討が必要と考える。

いかがでしょうか。
問題③の解答で重要なことは、問われていることの解釈を踏まえ、「なぜ自分の考えが妥当であるのか」が伝わるように順序立てて説明することです。

さらに、形式面でも問題③に対する講評で述べられているように、「改行」「段落の頭下げ」といった形式面とこちらも8割以上の文字数(つまり、960文字)は必ず守るようにしましょう。

 

また、上記のように上手く論述の組み立てが出来たとしても、論じる「ネタ」が無ければ解答のしようがありません。そのためにも、少しでも多くの「ネタ」を使えるように自分の引き出しに蓄えるようにしましょう。

世界遺産が抱えている問題やキーワードというのはそれほど多くありません。それぞれに対して、近年の取り組み事例を1つないし2つ知っておくと、まず解答の「ネタ」に困ることは無いはずです。

以下は一例ですが、世界遺産が抱えている問題について自分なりに具体例と考えをまとめてみてください。

・オーバーツーリズムの問題と解決策
・緊急的登録推薦制度の問題点
・アップストリームプロセスの長所と問題
・世界遺産をSDGsの取り組み
・自然遺産保護と経済対策の両立のあり方
・ICOMOSやIUCNの諮問機関による事前評価と世界遺産委員会での決議内容の乖離
・グローバルストラテジーの取り組み
・都市景観と開発問題

 

いかがでしたでしょうか。
おそらくマイスター試験を受験される方は世界遺産に興味を持ち、世界遺産好きな方ばかりだと思うので、是非試験対策と合わせてより世界遺産について知識を深め、マイスター試験の合格を勝ち取ってください!

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