京都の世界遺産、金閣寺(鹿苑寺)の見どころを徹底紹介!
庫裏、唐門、鏡湖池、葦原島、方丈、陸舟の松、金閣(舎利殿)、銀河泉と巌下水、金閣寺垣、龍門の滝、安民沢、夕佳亭、これを読めば金閣寺の見どころをほぼ網羅することができます。
これを読んでぜひ金閣寺の観光を楽しんでください!
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ①:庫裏(くり)
金閣寺を訪れると、受付の隣にある立派な建物が目に留まります。こちらは庫裏(くり)と呼ばれる、簡単に言えば台所として使われていた建物です。その使用目的から、屋根には煙出しが備えられています。
金閣寺の公式ページによると、1492年~1504年に建てられたと考えられていますが、江戸時代に再建されたものと思われます。建築様式としては切妻造桟瓦葺(きりづまづくり、さんがわらぶき)と呼ばれており、その広さは444.3平米にもなるそうです。
切妻造とは日本の一般的な家の屋根のように、側面から見ると三角形の形をした造りのこと。さんがわらぶきも、瓦を一部重ねるように敷いた屋根と考えて良いでしょう。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ②:唐門(からもん)
受付の隣、庫裏の手前にあるのがこちらの唐門(からもん)です。唐門とは、唐破風(からはふ)が屋根についている門のことを言いますが、唐破風とは写真にあるように曲線で形どられた屋根の正面/側面部分の装飾のことです。
唐門として有名なのは同じ世界遺産でもある日光東照宮でしょう。
金閣寺の唐門は平常時はこのように閉ざされており、参拝客は通ることができませんが、特別観覧の際などごく稀に開かれていることもあるようです。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ③:鏡湖池(きょうこち)
それではいよいよ門をくぐって金閣寺の境内へと進みましょう。
入口を進み、視界が開けたと同時に目の前にはあの金色に輝く楼閣の金閣が、池のほとりに建っている姿が目に入ってきます。
ここは金閣寺の中でもおそらく最も人気のある撮影スポットになっていて、池のほとりには常に写真を撮って賑わっているたくさんの観光客の姿があります。
この鏡湖池を中心とする金閣寺庭園は「池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)」と呼ばれており、池の周りを散策しながら歩いて楽しむ形式の庭園となっています。
しばらくは目の前に広がる美しい日本庭園と金閣を堪能して頂き、落ち着いてきたら池にも目を凝らしてじっくり見てみてください。
鏡湖池には大小いくつかの島が浮かんでおり、鶴島、亀島と呼ばれるなんとも縁起の良い名前の島から、仙人が住むと言われている蓬莱島とも呼ばれているひと際目立つ島があります。
写真の中央に写っているのが蓬莱島で、別名葦原島(あしはらじま)です。この葦原島とは「豊葦原中国(とよあしはらのなかつくに)」という古来の日本の呼び名のこと。
つまり、葦原島は日本の本州を表現しているんです。すると日本の本州である島が浮かんだこの鏡湖池は日本を囲む世界を表していることになります。
金閣寺(元は北山山荘)を創建した足利義満は、政権の表舞台から身を引いた後もこの北山山荘で実権を握り続けました。そして、金閣寺から鏡湖池を見下ろすことで、自分が日本を含めて世界を手中に収めた覇者であることを知らしめたかったのでしょう。
この鏡湖池にはこの葦原島のほか、淡路島や富士山の形をした岩まであると言われており、また北山山荘を創建するにあたって、各地の大名たちがこぞって石を献上したと言われています。そのため、この池には赤松石や細川石といった、大名の名前が付いた石が残されています。
さらにここには日本原産ではなく、わざわざ中国(当時の明)から運ばせたとされる九山八海石も納められていると言われています。足利義満と言えば、明と貿易を再開させたことでも有名ですよね(勘合貿易)。これによって明からも石を取り寄せたのでしょうか。
このように鏡湖池だけでもいろいろな見どころがあるので、池の周りを歩きながらぜひ池に浮かぶ葦原島や石にも目を向けてみてください。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ④:方丈(ほうじょう)
鏡湖池の周りを歩き進める前に、進行方向右側にあるこちらの方丈(ほうじょう)にも目を向けてみましょう。
方丈は客殿とも呼ばれており、ここ金閣寺(鹿苑寺)の本堂にあたります。こちらも庫裏(くり)同様、江戸時代の1678年、後水尾天皇の寄贈により再建されたもので建築様式としては入母屋造桟瓦葺(いりもやづくりさんがわらぶき)と呼ばれる様式になります。
入母屋造とは、屋根の上部分が切妻式(横から見て三角形、つまり二方向に流れている)になっており、下部分が四方に流れている形のこと。
また、本堂というのはお寺において本尊をお祀りしている建物を言います。この方丈は特別公開以外の通常時は非公開となって中に入ることはできませんが、内部の須弥壇に聖観世音菩薩坐像が安置されています。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ⑤:陸舟(りくしゅう)の松
方丈の近くにあるこちらの立派な松は、陸舟(りくしゅう)の松と呼ばれており、京都三松の1つに数えられています(金閣寺(鹿苑寺)、宝泉院、善峰寺)。
もともとは義満の盆栽から移植されたものと伝えられており、帆掛け船の形に見立ててあります。そして、この帆掛け船は西を向いているのですが、西と言えば極楽浄土があるとされている方位。まさに西方浄土に向かうための帆掛け船というわけです。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ⑥:金閣(舎利殿)
それではいよいよ最も重要な建物、金閣(舎利殿)を見てみましょう。金閣は同じ世界遺産の銀閣、さらにこちらも世界遺産の西本願寺にある飛雲閣と合わせて「京の三閣」の1つに数えられています。
金閣は三層構造になっており、それぞれの名称は下記の通り。
第一層(法水院(ほっすいいん)):白木で造られた寝殿造
第二層(潮音洞(ちょうおんどう)):金箔が張られた武家造(書院造)
第三層(究竟頂(くっきょうちょう)):金箔が内外に張られた禅宗造
外観からでしか分かりませんが、三層すべてが異なる造りになっているものの、それらが一体となって見事な融和を生み出しているのが金閣が素晴らしいとされるゆえんではないでしょうか。
それぞれの層についてさらに詳しくご紹介します。
第一層(法水院(ほっすいいん))
外から見ると全面金箔が塗られているかのように見えますが、実は第一層の法水院には金箔は塗られておらず、白木で造られた素朴な姿となっています。
内部は奥に須弥壇が置かれ、壇上中央に宝冠釈迦如来坐像が、そして向かって左には足利義満坐像が安置されています。
釈迦如来と義満が同じ壇上に並べられていることに違和感を感じませんか?この釈迦如来像は「宝冠」という名前がついている通り、身に宝飾をまとっています。通常釈迦如来像は何も身にまとわないのが一般的なので、宝冠をまとっているということは大日如来を指しているのではないかと考えられます。
大日如来は法の世界を統一する存在。その存在と自分を同等の位置に配置することで、法だけでなく実在の世界も治めているという義満の思惑が見えてくるようです。
漱清(そうせい:釣殿(つりどの))と夜泊石
金閣の第一層には漱清(そうせい)と呼ばれる小さな小屋が備え付けられています。これは釣殿とも呼ばれており、舟が発着する場所を表しています。
この漱清には夜箔石と呼ばれる石が1一列に並んで4個、並べられているのですが、これがまさに港に停泊している舟の様子を表したものとなっています。また、この夜箔石は実際に舟をつなぎとめる役割も持っています。
第二層(潮音洞(ちょうおんどう))
第二層は潮音洞と呼ばれており、外面には金箔が、そして内側の壁と床は黒漆塗りとなっています。第二層は書院造ですが、内側には仏間が設けられており須弥壇には観音菩薩像が、その周囲には四天王像が安置されていることから、観音信仰を表した空間となります。
第三層(究竟頂(くっきょうちょう))
最上層の第三層はなんと外側だけでなく、内側の壁と天井にも金箔が塗られており内面の床は黒漆塗りとなっています。
外側からみると、第一層、第二層に比べてやや小さめに造られているのも特徴の1つ。
最上層の第三層は禅宗造となっていることは、金閣寺が禅宗の一つ、臨済宗のお寺として創建されたことにもつながってきます。
鳳凰
金閣の屋根には鳳凰の像が置かれています。この像は金閣が焼失してしまった後、1987年に新しく造られたものになりますが、実は金閣が焼失した時、創建当時の鳳凰は屋根には飾られておらず別の場所に保管されていたことから、焼失を免れています。
この金閣と合わせて目にすることはかないませんが、実は鳳凰の像は金閣寺で創建当初から唯一現存する当時の遺品なのです。
金閣焼失
現在の金閣も残念ながら創建当初の姿ではなく、昭和時代に再建されたものとなります。直近の金閣の焼失は他のお寺のように歴史の中の戦火や荒廃によるものではなく、1950年7月2日、金閣の学生僧による放火が原因での焼失となります。
この学生僧による放火は当時の日本に大きなショックを与えたことは容易に想像することができると思います。
焼失からの再建には、通常の金箔の5倍の厚さの「五倍箔」が約20万枚(20キログラム)と漆1.5トンが使われ、当時の金額にして約7億4千万円もの費用がかかったそうです。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ⑦:銀河泉(ぎんかせん)と巌下水(がんかすい)
金閣を思う存分満喫した後は、その裏手にある小山へと散策道が続きます。その途中に2つの泉があるのですが、それぞれ銀河泉(ぎんがせん)と巌下水(がんかすい)と呼ばれています。
銀河泉は義満がお茶を作るときに水を汲み上げた場所と言われており、今も絶えず水が湧き出しています。一方の巌下水は義満のお手洗いとして使われたそうです。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ⑧:金閣寺垣
この小山に上がる石段の両脇にある小さな垣根は「金閣寺垣」と呼ばれており、今では多くの場所で用いられている垣根の原型と言われています。こちらも見どころの一つとしてチェックしてみてください。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ⑨:龍門の滝と鯉魚石(りぎょせき)
少し写真では分かりづらいですが、こちらは龍門の滝と呼ばれる滝で、高さは約2.3メートルになります。
注目すべきは滝の下に置かれている大きな石。こちら鯉魚石(りぎょせき)と呼ばれており、その名の通り滝を駆け登っていく鯉(コイ)の形になぞらえて付けられました。滝と鯉は中国の故事「登竜門」から来る組み合わせで、鯉は滝を登りきると龍になるとの言い伝えから来ています。
確かに石をよく見てみると、まるで滝を跳ね上がる様に登っていく鯉の姿が見えてくるので不思議です。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ⑩:安民沢(あんみんたく)
金閣の裏側、小山の中腹にあるのがこちらの安民沢(あんみんたく)です。この沢は鏡湖池の水源となっており、大きさとしては鏡湖池の半分程度になるそうです。
この場所はもともと北山山荘が建てられる前にあった西園寺を創建した、西園寺家の鎮守の場所と言われており当時の姿をそのまま残していると伝えられています。
また、日照りが続いても水が枯渇することが無かったことから、雨乞いの場所としても使われていたのだとか。
写真の中央にあるのが白蛇の塚と言われる石塚です。白蛇は水の神とされる弁天様の使いとされていることから、雨乞いの場所にちなんで建てられたのでしょう。
【世界遺産】金閣寺(鹿苑寺)の見どころ⑪:夕佳亭(せっかてい)
小山の頂近くに建てられた小さな茶室を夕佳亭(せっかてい)と言い、もともとは後水尾天皇を迎え入れるために造られた茶室と言われています。
夕日に映える景色が殊によろし(佳)
このように評されたことから、夕佳亭(せっかてい)という名前が付けられました。
1874年に再建され、さらに1997年の修理を経て今の姿に至ります。
また、三畳敷にある床柱は茶の席には南天の木が使われているのですが、これは通常の茶室には用いられないもので珍しい組み立てとなっているのも見どころです。
いかがでしょうか。
金閣寺(鹿苑寺)は臨済宗のお寺ですが、やはりその庭園が一番の見どころかと思います。奈良にあるお寺に比べると広さはそれほど広くなく、一通り観光するにもそれほど時間はかからないものの、これまでご紹介してきたように見どころはたくさんあるので、ぜひゆっくり時間をかけて金閣寺の素晴らしさを堪能してください!
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(参考:「古寺巡礼 金閣寺」淡交社, 梅原猛 有馬賴底)